新型インプレッサ、新型XVと、このところ快進撃を続けるスバル。さらに8月にはレヴォーグとWRX S4の大幅マイナーチェンジが行われ、こちらも大いに注目を集めている。その核となるのは何といっても新機能「アイサイト・ツーリングアシスト」の搭載。アクセル・ブレーキ・ステアリング制御など運転支援が行える速度域を拡大し、これまで以上に安全性・快適性が高められた。
だが、もちろん新型レヴォーグ、WRX S4の進化点はそれだけでない。走行性能や質感も大きく向上している。
今回試乗会が行われたのは伊豆・修善寺のサイクルスポーツセンター。1周5㎞の周回路が試乗コースだが、本来は自転車用のコースということもあり、きついコーナーとアップダウンが連続し、加減速とコーナリング性能を試すには最適な場所だ。その中で今回は6月にMCされたWRX STIも含め、短時間ではあったが性能の一端を確認することが出来た。
まず大きく進化が体感できたのはレヴォーグの乗り味。新旧を乗り比べたが、その違いは大きい。従来のレヴォーグは張りのあるやや硬質な足回りだったが、今回の改良でサスペンションのセッティングが見直され、しなやかさを増した。この結果、乗り心地が改善され当たりがソフトになり、上級ツーリングワゴンらしい快適な乗り心地となった。と同時に路面追従性も高まり、コーナーリング時の安定感が向上。特にリヤの接地感が高まり、粘りのある足回りとなっている。サーキットのようなフラットなコースならともかく、荒れた箇所も多い実際の公道なら、確実に新型の方が乗り心地が良く、かつ走りの面でも上回る。
一方S4は、より走りに振ったスポーツセダンという位置付け。こちらもレヴォーグ同様足回りの改良を受け、しなやかさを増した。乗り心地、コントロール性を高い次元でバランスさせている。低速域での凹凸のいなし方も秀逸で、ハイパフォーマンスを誇るWRXシリーズではあるが、過激なまでのスポーツ性を見せるWRX STIに比べて、どちらかというとレヴォーグ寄りに近い印象である。
そしてWRX STIは、マルチモードDCCDの電子制御化やブレンボ製18インチブレーキ、19インチアルミ&ホイールの採用などで、さらにコーナリング性能を向上。サスペンションの最適化も図られている。こちらも新旧乗り比べたが、回頭性が大きく改善されたことが体感できた。リヤの接地感も向上しており、かなり強引にコーナーを曲がっても安定感を失わないのに感心。素直にクルマが向きを変えてくれるので心地よい。またそれでいて乗り心地がハード過ぎないのも好印象だ。街乗りからワインディングまでシーンを選ばず楽しめるハイパフォーマンスモデルである。(鞍智誉章)