セダンの「C」「E」「S」のように、SUVやクーペも車格に応じたモデル名の整備を進めてきたメルセデス・ベンツ。これに倣い、従来は「GLK」と呼ばれていたCクラスベースのSUVに「GLC」という名前が与えられ、スクエアだった外観も丸みを帯びたデザインになるなど、名称だけなくデザインや走行性能も一新されている。
パワートレーンは、最高出力が異なる2種類の2・0Lガソリン、PHV、トップグレードの3・0L V6を設定するほか、今年2月には2・2Lディーゼルターボを追加。今回はそのディーゼルモデルとなる220dに試乗した。
デザイン面では、リヤの「GLC 220d」というエンブレム以外、ディーゼルモデルであると主張するものは無い。短いオーバーハングや、クーペのようなルーフラインというスポーティな外観と、シックで上質なインテリアは現行モデルのものが踏襲されている。
1890㎜という全幅は日本の道路事情に即したサイズと言い難いが、運転席に座ってみるとSUVモデルらしい良好な見晴らしに加え、思いのほか見切りも良く、ボディの感覚を掴むのに苦労しなかったのが印象的。また、上空から俯瞰して車両を確認できる機能によって、狭い都市部のコインパーキングでもスムーズに駐車が行えた。
試乗車はスポーツサスペンションを搭載したスポーティグレードだったためか、乗り味が全体的に硬めで、街乗りの速度域だとその傾向が感じられた。一方で、カーブが連続するワインディングの走行は得意。クイックなハンドリングや路面を掴むようなコーナリング性能を持ちながら、ロールをほぼ感じさせない安定した姿勢でドライブを楽しめる。近年のSUVは腰高感を感じさせず、おしなべてその走りに不満を覚えることは少ないが、高いコーナリング性能を持った試乗車は、特にSUVを運転しているという感覚が薄かった。
搭載する2・2Lディーゼルターボエンジンは、常用域の1400~2800回転で400Nmの最大トルクを発揮するため扱いやすく、走り出しから軽快な加速を体感できた。また、搭載する9速ATによって、時速100㎞の巡航でも1500回転未満をキープしていることに加え、風切音などの騒音もほぼシャットアウトしており、車内の静粛性は特筆すべきポイントだ。