SUVらしさと都会的な雰囲気を放つ「CX-3」試乗記

試乗レポート

このところ急激に人気を高めているカテゴリーが、コンパクトクロスオーバーだ。ホンダ・ヴェゼルや日産ジュークはもちろん、ルノー・キャプチャー、MINIクロスオーバー、フォード・エコスポーツなど欧州勢も続々登場、世界的にもっとも勢いのある市場といえるだろう。

これらに共通するのは、タフな走破性をアピールする従来のSUVと異なり、主にオンロードでの走りを主眼においたコンパクトモデルであるということだ。もちろんCX-3も同様。SUVらしさも演出しつつ、都会的な雰囲気を感じさせるそのスタイルは流麗で美しく、大いに魅力的だ。

さて、このCX-3の大きな特徴となるのは、クリーンディーゼル専用車であるということ。搭載するのはデミオと同じ1.5Lディーゼルターボだが、トルクがより高められ、さらにオプション装備とはなるがノック音を抑制する「ナチュラル・サウンド・スムーザー」が採用された。

実際に試乗してみると、まずその静粛性の高さに驚かされた。デミオも決してうるさいクルマではないのだが、CX-3の静かさは確実に1クラス上。普通のガソリン車よりも静かなほどである。またシートの乗降性や視界の広さもデミオを上回る。多くの部分をデミオと共用するCX-3だが、やはりこのあたりは車高が高い方が有利である。

一方、走りは甲乙つけがたい。CX-3の方がトルクを向上させているとはいえ、車両重量は約130㎏も重く、結果として軽快なデミオに対して、CX-3はややどっしりとして、落ち着きのある走りをみせる。とはいえ、これは比較すれば話であって、実際にはその差は小さく、どちらの走りも楽しい。

全体の乗り味はやや硬質な印象。試乗車は18インチのタイヤを装着していたということもあるが、基本的に足回りのセッティングは固めで、ステアリングへの反応がリニアなこともあってシャープな印象を受ける。新世代マツダ車に共通するテイストであり、無駄な動きがないので安心感が高い。

一方、やや気になるのが居住性。デミオよりも後席シートの座り心地は改善されているものの、スペースそのものはほぼ同じとあって、後席乗員にとっては長時間のドライブに向いているとは言い難いの正直なところだ。(鞍智誉章)

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