トヨタ2000GTが挑戦する記録は、6時間・1000マイル・2000㎞・12時間・2000マイル・24時間・5000マイル・48時間・1万㎞・72時間・1万5000㎞・1万マイル/1万6000㎞。
訓練を重ねたピット作業は、特注110ℓタンク満タンに20秒+グッドイヤー製ブルースとリークタイヤ交換+ドライバー交代で、ピットインからアウトまで僅か40秒という早業を繰り返しで、トライアルは続くのである。
一回2時間30分の持ち時間をこなし交代する5人のドライバーは、土浦の京成ホテルで、食事、マッサージ、睡眠と体力回復に努めた。
さて、同じ2000GTでもレース仕様では250オーバーという早さを競うが、記録挑戦車では耐久力優先だからエンジンは市販車の性能に近く、三連装のソレックス・キャブレターをウエーバーに換えたくらいで仕上げられていた。
まず最初の関門6時間は、クーパーの202.39km/hをあっさりと破って210.42km/h…次の1000マイルはポルシェ186.59km/hを上回る209.75km/h…2000㎞はポルシェ186.13km/h vs 209.45km/h…12時間:ポルシェ186.25km/h vs 208.79km/hと新記録で快走。
二日目、今度はトライアンフの記録に挑戦である。
午前1時30分、2000マイル:164.15km/h vs 207.48km/h…24時間:164.23km/h vs 206.23km/hと連破は続く。
この二日目は明け方から雨、そして風速10mを越す風で、平均速度が下がり、220km/hで抜けるバンクでは車が尻を振り「緊張の連続だった」と津々見友彦から聞いた。
そして三日目も雨だったが「四日目は晴れてホッとした」とも云っていた。
トライアンフの記録挑戦は更に続き、5000㎞:164.91km/h vs 206.29km/h…5000マイル:164.94km/h vs 204.36km/h…48時間:165.20km/h vs 203.80km/h…10.000マイル:164.53km/h vs 203.97km/h…72時間:153.09km/h vs 206.02km/hと、記録更新は続いた。
次の15.000㎞、ACの121.889km/hは206.04km/hで軽く通過、ヤッコロサリエの10.000マイル111.203km/hも206.18km/hで、快調に走破したのである。
以上はEクラス{1500~2000cc}の国際記録だが、排気量無制限の世界記録があり、別に大排気量の記録にも挑戦していた。
それはCクラス{3000~5000cc}フォードコメットが持つ72時間:202.21km/hを206.02km/h、15.00㎞:202.75km/hを206.04km/h、10.000マイル:202.23km/hを206.18で連破して、三つの世界記録樹立に成功したのである。
こうして、トヨタ2000GTは国際新記録13、世界新記録3の樹立に成功して、世界にアピールしたのである。
国際的に名が知られたトヨタ2000GTは、18カ国に115台が輸出された。最も多い58台のアメリカでは、SCCAなどのレースで、ポルシェや欧州の名門スポーツカーを相手に善戦を繰り広げた。
一方、映画{007に日本娘がボンドガールに採用され、ボンドカーに2000GT が採用されたことも、世界的宣伝になった。
ちなみに67年から70年の間に337台を生産、販売価格238万円は、今なら1500~2000万円に相当するだろう高嶺の花だった。