文・写真:吉田直志(automobile columnist)
高速道路を走っていると、あれはなんだろうと思う施設が目に飛び込んでくることがある。たとえば、富士山麓から都心へと戻ろうと中央自動車道を走っている時に目にするのが、大月JCT手前のリニア実験線、大月ICの先、山の中腹にある公園施設。今回は、そのふたつを目的地として出掛けることにした。そんなドライブのお供にと連れ出したのは、「MINI クラブマン」だ。
MINIは、まさにMINIらしさである個性をデザインやパッケージに表現したモデル(ブランド)だが、最新世代では、より多くの人にも受け入れられるモデルとして、新たな展開を試みている。
ベースとなる3ドアのフルモデルチェンジに続いて、利便性を求めた5ドアモデルを発表したと思ったらば、昨年、2ドア(クーペ的なスタイル)+ラゲッジスペースというシューティングブレークコンセプトをもっていたクラブマンを、いわゆる5ドアハッチバックスタイルへとスイッチさせ、MINIの中にゴルフに代表されるCセグメントを作り上げてしまった。
そのパッケージだけではなく、BMWのFFモデルとプラットフォームを共用することで、アッパークラス感までも手に入れており、クルマとしての完成度はもちろんのこと、MINIらしい斬新な表現などが評価され、2016年次RJCカーオブザイヤー インポートを受賞している。
さて、そんなMINIクラブマンに乗ってまず向かったのは中央道上り線、大月ICの少し先から目にする「桂川ウェルネスパーク」だ。果たして、あれはどんな施設だろうかと気になっていた人も多いと思うが、実際に中央道から見えるのは、中心となる施設建物と芝生広場だけで、その敷地面積はとても広かった。施設内にはつり橋、バーベキュー広場、散策路まであり、南斜面にあることも手伝って、まさに休日をのんびりと過ごすにはうってつけのスポットだった。
せっかく大月市を訪れたのだからと、続いて向かったのは「猿橋」。高速バスの停留所となっていることからも有名だが、その歴史は古く600年頃に架けられたといわれている。現在は、江戸時代に架けられていたスタイルを再現したものとなっている。猿橋のたもとに駐車場(数台)があるが、訪れる際には「大月市郷土資料館」の駐車場を利用して、そこから桂川沿いに歩く散策コースをお勧めしたい。梅雨時期になればアジサイが、秋が深くなれば紅葉までも愉しむことができる。
今回のもうひとつの目的地である「山梨県立リニア見学センター」がある都留市へは、大月市を走る国道20号線から富士山麓へと向かう国道139号線へと走ることになるが、このルートは交通量も多く、また、信号も数多くあるため、ドライブを愉しむというよりも、次の目的地へと移動している感じとなった。しかし、高速走行時で感じたMINI クラブマンの安定感、それが導く快適性は、そんな街中を走っていても変わることなかったし、このようなルートであっても、MINIらしい愉しさがあふれていたことが印象に残った。
「山梨県立リニア見学センター」は博物館型の見学施設であり、見学デッキのほか、リニアモーターカーについて学ぶことができるどきどきリニア館、山梨県の観光情報を知ることができるわくわくやまなし館などからなる。ちなみに、山梨リニア実験線は97年にスタートし、やがてはリニア中央新幹線に利用される路線であり、現在では、以前テスト風景を見学できるスポットとして紹介した笛吹市側から上野原付近までが延長され、総延長42.8kmとなっている。
また、都留市を訪れたら「ミュージアム都留」にも是非足を運んでいただきたい。ここは、都留市の歴史について紹介している施設だが、都留市がかつて城下町として栄えていたことや絹織物を名産としていたことなど、知らなかった都留を学ぶことができ、そして、この地域の良さを改めて知ることができるからだ。
今回のドライブは、気になっていたあのスポットを巡ることをテーマとしたが、お伝えしてきたようにそれ以外の発見が多くあった。もちろん、MINI クラブマンに対しても、だ。そうそう、燃費は、高速道路を丁寧に走っていると、20.0km/Lを超えることもあった。もはや、MINIだからという言い訳は、燃費性能にも見られなくなっていた。
ドライブデータ
試乗車=MINI クーパー クラブマン
パワーユニット=ガソリンエンジン1498ccターボ、6AT、FF
乗車定員=5名
全行程走行距離=約270km
立ち寄りスポット[マップコード]
・桂川ウェルネスパーク[161 749 238*42]
・猿橋[161 718 450*56]
・山梨県立リニア見学センター[161 591 554*62]
※「マップコード」および「MAP CODE」は、株式会社デンソーの登録商標です。
※ナビの機種によっては、高分解能マップコードに対応していない場合があります。
プロフィール
吉田直志/automobile columnist
四輪駆動車専門誌、デジタルカルチャー誌の編集部を経て、フリーライターに。現在は新型モデルの評価を軸に、自動車雑誌のほか、ファッション誌にも寄稿。
(本稿は2016年4月に新聞「週刊Car&レジャー」に掲載)