文・写真:吉田直志(automobile columnist)
春は、菜の花、桜……と、順番に咲いていくと思われているしれないいが、冬が厳しい地域では、菜の花も桜も桃も一斉に開花し、一気に春が訪れる。そんな春を楽しもうと山梨県韮崎を訪れることにした。ここは、桜がひと段落すると、続いて桃の花が咲き誇り、これからの時期は桃源郷たる風景を眺めることができる。今回のドライブに連れ出したのは、BMWブランドとしては初となるFFモデル「2シリーズアクティブツアラー」だ。
韮崎までのアクセスは、中央道を約120km走り韮崎ICで下りるとすぐ。中央道の起点である高井戸からは、休憩を入れても2時間もあればで到着できる。
最初に訪れたのは、韮崎市の西側に位置する「韮崎大村美術館」。韮崎ICからは街中を流れる釜無川を挟んで反対側の斜面にあり、少し登ったところにあることから、韮崎の街並みと、八ヶ岳や茅ヶ岳を眺めることもできる。また、美術館の隣には日帰り温泉施設「白山温泉」があるほか、食事処「そば処 上小路」もあり、まさに、自然とアートと、さらに湯と食まで楽しむことができるスポットとなっている。早々に食を満たした後に向かったのは、1㎞と少し先にある「武田八幡宮」。ここは嵯峨天皇の勅命によって宇佐八幡を勧請して建立され、やがて武田氏の氏神として崇敬されるようになった神社で、重要文化財である三間社流れ造りの本殿など、見どころが多くある。
韮崎といえば、昨年放送されたNHK連続テレビ小説「花子とアン」のロケ地としても有名。そのロケセットは「韮崎市民俗資料館」の裏手にそのまま残されており、見学できるようになっている。
韮崎には、クルマを走らせて楽しい、流れゆく景色を楽しめるようなドライブルートがないと思われるかもしれない。しかし、この韮崎から長野県茅野市までを繋ぐ県道茅野北杜韮崎線(通称七里岩ライン)が走っており、これがオススメドライブルートとなっている。長野県に入ってからのルートが有名だが、韮崎周辺はその走りやすさ、移り変わる景色など、走りたくなる魅力が多くある。
韮崎側から県道に入ると、まずは電気機関車や蒸気機関車がおいてある「韮崎中央公園」がある。やがて自然豊かな風景に変わると桃の産地や城跡があることで有名な新府へと到着。さらに進むと左手に雪がまだ残る甲斐駒ケ岳が見え、やがては右手に小さな穴山駅とその横にある「穴山さくら公園」が見えてくる。そう、まさに春を長めながらのドライブを楽しめるルートだ。
BMW2シリーズアクティブツアラーは、FFモデルということもあって、ドライブ前はどんなハンドリングを披露してくれるか興味津々だったが、そのフィーリングにFRモデルとの違いはあれども、BMWらしい正確なハンドリングと、広いキャビンを活かした快適性に、新しいBMWを感じ取った。
立体駐車場に入る全高を実現するために日本仕様専用となるローダウンサスペンションを採用したことから、乗り心地は少々硬めだが、その分、高速域でのスタビリティは相当にハイレベルを実現しており、ツアラーとしてのポテンシャルに感心を覚えた。また、1.5Lエンジンは3気筒ゆえの音や振動はあるものの、そのトルク感は不足ないどころか十二分であり、快適なドライブを提供してくれた。
ちなみに6月30日までは、中日本高速道路株式会社が速旅 乗り放題プランとして、春のやまなしドライブプランを提供。これはインターネットでの事前申し込みをすることで、ETC利用に限り指定された周遊区間内ならば定額で利用できるもの。山梨県内エリアならば5900円で2日間乗り放題となっており、このプランを活用して泊まりながら、今回紹介した韮崎はもちろん、山梨県内を巡ってみるのもいいだろう。
ドライブデータ
試乗車=BMW 218i アクティブ ツアラー Luxury
パワーユニット=エンジン排気量1449cc(ターボ)、6速AT、FF
乗車定員=5名
全行程走行距離=約300km
立ち寄りスポット[マップコード]
・武田八幡宮[167 440 143*13]
・韮崎市民俗資料館[167 474 722*27]
・穴山さくら公園[167 590 485*22]
※「マップコード」および「MAP CODE」は、株式会社デンソーの登録商標です。
※ナビの機種によっては、高分解能マップコードに対応していない場合があります。
プロフィール
吉田直志/automobile columnist
四輪駆動車専門誌、デジタルカルチャー誌の編集部を経て、フリーライターに。現在は新型モデルの評価を軸に、自動車雑誌のほか、ファッション誌にも寄稿。
(本稿は2015年3月に新聞「週刊Car&レジャー」に掲載)