文・写真:吉田直志(automobile columnist)
厳しい寒さだけではなく、関東甲信越に大雪までもたらした今年の冬。そのために、桜はもちろん、梅の開花は例年よりも大きく遅れていたが、3月下旬になって急に春めいてきた。そんな春を探そうと訪れたのは、甲府盆地の東側にある甲州市、山梨市。4月になると桃の花が咲き、まさに桃源郷となる。そんなドライブの相棒に選んだのは、ルノーからデビューしたばかりのコンパクトSUV「キャプチャー」だ。
ご存知のように山梨県甲府盆地へは中央自動車道を利用すれば、すぐに到着できる。今回は甲府盆地の東側を訪れるため、甲府盆地の入口にある勝沼ICで下りることにした。勝沼はワイナリーが多くある地だが、今回は立ち寄ることなく甲府盆地の中で北東部に位置する塩山を目指して、フルーツラインを走った。このルートは、勝沼から塩山牛奥へとつながるドライブルートで、少し小高い地に作られたこともあって、甲府盆地を見下ろしながらドライブを楽しめる。ちなみに信号がないこともポイントだ。途中には牛奥みはらしの丘があり、クルマを停めてしばし眺めを楽しんでいることもできる。
まず訪れたのは、「塩山ふれあいの森総合公園」だ。ここは小高い丘陵地に作られた公園で、ぶどう、桃などをモチーフにした遊具があるほか、また、ひょうたん池で水遊びできるなど、まさに子どもが楽しめるスポットとなっている。少し離れたところには武田信玄ゆかりの寺である「恵林寺」がある。境内には広い庭園のほか、武田氏の遺宝・秘宝を収蔵し、一般公開している「信玄公宝物館」もある。また、今回は訪れなかったが、塩山駅前には甲州の古民家である旧高野家住宅(甘草屋敷)ではこの時期はひな壇が飾られており、時間に余裕があれば是非とも訪れてみたいスポットとなっている。
続いて訪れたのは「山梨県笛吹川フルーツパーク」。その名のとおりフルーツをテーマとした公園で、もちろん、果樹園や果物について学べる展示室などがあるのだが、それだけではなく広々とした園内にはアスレチックや足湯などもあり、まさに1日遊んでいられるスポットとなっている。また、甲府盆地を見下ろせる丘陵地にあり、夜景スポットとしても有名だ。
今回のドライブに連れ出したルノー・キャプチャーはオフロードを走ることは考えられていない、まさにイマドキのSUVだ。乗り味はゆったりとしたストローク感をベースにしながら、そこにスポーティな味付けを与えているという、まさにルノーらしさにあふれるものだった。1.2Lターボエンジンは、強いパンチはないが、イマドキのターボらしく低回転域から高いトルクを発生させるため、1.2Lとは思えぬ加速を披露。ふっと気がつくと法定速度を超えそうになっているほどだ。時に景色を眺めながらのんびりと、時にワインディングをスポーティに走らせる、そんなドライブにぴったりの1台だった。
ドライブは、甲府盆地から離れ、ダイナミックな景色を見ようと、笛吹川を遡りつつ秩父へと抜ける雁坂峠へ向かうルートを選んだ。この国道140号線沿いには、「牧丘郷土文化館」が併設されている道の駅花かげの郷まきおか、広瀬ダム、そして雁坂トンネル手前に「道の駅 みとみ」などがあり、トンネルまでの道のりも十分に楽しめる。もちろん、そのままトンネルを越えて秩父へと向かうのもいいだろう。そのほか、奥多摩へと抜ける国道411号線方面にある大菩薩湖もオススメだ。天気が良ければ富士山を見られる。
ドライブデータ
試乗車=ルノー キャプチャー インテンス
パワーユニット=エンジン排気量1197cc(ターボ)、6速EDC、FF
乗車定員=5名
全行程走行距離=約200㎞
立ち寄りスポット[マップコード]
・塩山ふれあいの森総合公園[59 807 892*10]
・恵林寺[59 836 180*17]
・山梨県笛吹川フルーツ公園[59 710 723*23]
・広瀬ダム[534 002 271*37]
・道の駅 みとみ[534 061 573*13]
※「マップコード」および「MAP CODE」は、株式会社デンソーの登録商標です。
※ナビの機種によっては、高分解能マップコードに対応していない場合があります。
プロフィール
吉田直志/automobile columnist
四輪駆動車専門誌、デジタルカルチャー誌の編集部を経て、フリーライターに。現在は新型モデルの評価を軸に、自動車雑誌のほか、ファッション誌にも寄稿。
(本稿は2017年4月に新聞「週刊Car&レジャー」に掲載)