横浜ゴムは7月16日、ブラックボックスとなっているAIの判断基準やルールをユーザーが推測するための技術であるXAI（eXplainable AI=説明可能なAI）を活用したタイヤの設計支援システムを独自開発したと発表した。
同技術の開発により、技術者の知識や経験を補う情報（求めるタイヤ特性に役立つ特徴量）が得られるため、経験の浅い技術者でもタイヤ設計が容易になることから、開発のスピードアップやコスト削減を実現する他、特徴量を俯瞰することで新たな気づきやひらめきが得られ、より高性能な商品の開発が期待できるという。
同システムは、同社が2020年10月に策定したAI利活用構想「HAICoLab（ハイコラボ）」に基づいてタイヤの開発プロセスを革新するために開発。タイヤ開発では開発目標を目指して、特性値（性能や品質を表す数値や指標）を改善できる特徴量（タイヤの材料・形状・構造の各特徴を表す設計因子）を探索。
求めるタイヤ特性に役立つ特徴量を技術者に提供できるようSHAP（SHapley Additive exPlanations）と呼ばれるXAIに独自のカスタマイズを施しているのに加え、得られた特徴量をどう調整すればよいかを技術者が理解しやすいよう、多角的に表示することで、経験の浅い技術者でもタイヤ設計を効率的に行うことが可能となる。
また、技術者が設定したタイヤの基準仕様と目標特性値から改善すべき特性（目的特性）と定量値を定め、その目的特性の改善に役立つ特徴量をXAIで提示。技術者はXAIで得られた情報（求めるタイヤ特性に役立つ特徴量）を多角的な視点で解釈して仕様を修正し、同社が2021年に開発した特性値予測AIを使って各特性値が目標を達成しているかを確認。
上記プロセスを繰り返すことで最終仕様を決定し、さらにXAIによって最終仕様の根拠［各特性値の改善や維持に役立った設計因子（特徴量）とその寄与率］の確認も可能なことから、“人とAIとの協奏”によって新たな発見やひらめきを得ることができ、より高性能な商品開発に繋げることが期待できるとしている。
同社は今後、同システムを多岐にわたるタイヤ商品開発に活用するとともに「HAICoLab」の実践領域を拡大すると述べている。
