文:吉田直志
「乗りたい未来を、探しにいこう!」をテーマに開催された「ジャパンモビリティショー2023」の見どころは、やはり各ブランドから提案される新しいモビリティだ。会場では、バッテリーEVを採用したクルマやバイクが多く見られた一方で、7月に新たなルールとして適用された運転免許証不要となる「特定小型原動機付自転車」対応モデルも多く出展されていた。ここでは、筆者が気になったモデルをブースごとに紹介していこう。
■ トヨタ
さまざまなスタイルに寄りそうモデルを出展。中でもアクティブに愉しむ自由を提案した「ランドクルーザーSe」は、モノコックボディを採用。これまでの頑なともいえたオフローダー路線に新しい価値をプラスして、新しい路線へ踏み切ったことを示したモデルに仕上がっていた。
■ 日産
CGのみの出展も含めてコンセプトモデル5台が出展されたが、注目株は「ハイパーフォース」。そのユーザーには、モータースポーツにのめり込んでいるという架空のモデルが設定され、また、GT-Rを彷彿とさせるデザインを含めて「こんなモデルが欲しい」「ああいうオーナーになりたい!」そう思わせる魅力を披露していた。
■ ホンダ
先日デビューしたばかりのN-BOXすらないという出展内容だが、その分、乗りたい未来を存分に表現していた。スポーツモデルの「プレリュード コンセプト」、ECOだけではなくドライバーのEGOまで両立させたという「SUSTAINA-C Concept/Pocket Concept」、来年デビューをアナウンスされている「N-VANe:プロトタイプ」ほか、見どころが多かった。
■ SUBARU
航空宇宙事業も担うメーカーらしく、まさに空飛ぶクルマである「AIR MOBILITY CONCEPT」、これもまたスバルらしさである、新しいグランドツーリング性能を表現した「SPORT MOBILITY CONCEPT」を出展。そのほか、改良を受けたばかりの最新市販モデルも多く並んでいた。
■ マツダ
走る愉しさに振り切った内容としており、その原点となる初代ロードスターのレストアモデル、改良を受けたばかりの最新ロードスター、さらには、子供用にリサイズされたロードスターなどを出展。コンセプトモデルは、具体的な方向性はロードスターなのか、RX-7なのか、どちらとも受け取れる「MAZDA ICONIC SP」を発表し、まさに、ブースに足を踏み入れただけでワクワクしてくる内容となっていた。
■ 三菱自動車
SUVとミニバンを融合させたデリカD:5の進化を想像させる「MITSUBISHI D:X CONCEPT」を発表。PHEVによる電動モーターの走りも、新たな魅力となって加わっており、さらなるファンを増やしそうな予感を覚えた。また、来年初頭に発売となる「トライトンプロトタイプ(日本仕様)」も披露され、ブース全体でユーザーの冒険心を誘う内容となっていた。
■ ダイハツ
注目を浴びていたのは、コペンの小型車モデルといわんばかりのスタイリングで登場した「VISION COPEN」。もちろんコンセプトカーだが、FRレイアウトを採用するという、スポーツカーマニアの心をくすぐる演出もポイント。また、電動化によって、荷物を運ぶだけではなく、オーナーの働き方を広げてくれる「UNIFORM TRUCK/CARGO」もダイハツらしいコンセプトカーに仕上がっていた。
■ スズキ
そのまま市販されてもおかしくない仕上がりとなっていた「スペーシア コンセプト」、「スイフト コンセプト」のほか、日常をワクワクさせてくれる軽ワゴンをEV化したコンセプトモデル「eWX」も魅力を振りまいていた。また、電動小型モビリティとして提案された、四脚モデルの「MOQBA」や特定小型原動機付自転車とした「SUZU RIDE/CARGO」は、欲しいと思わせる提案となっていた。
そして、なんといっても注目ブランドは、今回、初出展となる中国のBYDだ。ご存知、中国はもちろん、グローバルに大人気ブランドとなっているが、会場では、バッテリーEVモデルを中心にコンパクトモデル「DOLPHIN」からSUV「U8」まで、広いラインナップを展示。それぞれのモデルのクオリティはもちろん、ブースの華やかさまで、先を走っている印象を強く与えるもので、ブースも、車両も、まさに見逃せない存在となっていた。