横浜ゴムは6月1日、同社の技術者2名がサステナブル資源を用いたゴム材料の研究開発において、一般社団法人日本ゴム協会の「第34回日本ゴム協会賞」を受賞したと発表した。なお、受賞式は5月30日に日本ゴム協会で開催された。同研究開発は国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)との共同研究であり、同研究所の2名も受賞している。
「日本ゴム協会賞」は、ゴムおよびその周辺領域における科学・技術またはその産業分野の発展に寄与し、その業績が極めて顕著なゴム協会会員に授与される賞。授与数は毎年2件以内で、今回は横浜ゴムの日座操 氏(ひざ・みさお)、新家雄 氏(しんけ・ゆう)および産総研の藤谷忠博 氏、宮澤朋久 氏が受賞した。
なお、今回受賞の対象となった業績は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務として参画した「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」における6年間の研究成果となる。また同研究開発は、2022年1月にNEDOの「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」に採択されており、引き続きゴム業界の持続的成長に貢献できる技術開発を進めるとしている。
<受賞理由>
同研究開発ではタイヤ用ゴムをサステナブル資源化するため、トウモロコシやサトウキビなどから作られるバイオエタノール(生物資源)を合成ゴムの材料であるブタジエンに変換する世界最高レベルの高性能な金属酸化物触媒を開発した。さらに、同触媒で生成したブタジエンから重合したブタジエンゴムをタイヤのキャップトレッドやサイドウォールに適用したタイヤ試作に成功した同研究開発は密度汎関数理論計算、ハイスループットシステム、マテリアルズインフォマティクスの活用によって最適触媒・反応系の開発期間を大幅に短縮することに成功しており、将来のカーボンニュートラルな基幹技術として量産化が期待される。さらに従来の経験と勘による材料開発に代わって、積極的にマテリアルズインフォマティクスを導入しており、ゴム産業の科学・技術の発展に寄与する極めて顕著な業績であると考えられる。