トヨタ、樹脂製高圧水素タンクを活用した貯蔵モジュールを開発

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トヨタは3月5日、燃料電池自動車(FCEV)「MIRAI」で採用実績のある自動車用70MPaの複数の樹脂製高圧水素タンクと水素センサーや自動遮断弁などの安全装置をインテグレートした水素貯蔵モジュールを開発したと発表した。同社は、このモジュールのコンセプトモデルを、3月16日(水)~3月18日(金)に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「FC EXPO(水素・燃料電池展)」に出展する。

また同社は、モジュール開発にも繋がった、レース等のアジャイルな開発現場を活用した水素貯蔵量や運搬上の安全性を高める実証を、昨年に続き、本年も3月19日(土)~3月20日(日)に開催される「スーパー耐久レース in 鈴鹿」から進めるとしている。

FCEVやFCシステムモジュールの販売など、トヨタがこれまで水素社会実現に向けた取り組みを進める中で、自動車用に開発した70MPaの樹脂製高圧水素タンクを、鉄道・船舶・港湾等での荷役機器・定置式発電機などでも活用したいとの要望を受けていたが、同タンクを様々な分野で活用するには、分野や使用環境ごとに安全基準も異なり、幅広い用途では利用できない状況にある。政府も、安全を担保しながら、迅速に水素利活用を進めるための様々な検討を進めており、トヨタも積極的に協力していきたいとの考えから、今回は上記要望・水素利活用拡大に向け、水素貯蔵モジュールを開発したと述べている。

またトヨタは、スーパー耐久シリーズの場においても、昨年から水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」の各フェーズについて実証を重ね、今回のコンセプトモデルの開発にも繋がったとし、3月19日(土)~3月20日(日)に開催される「スーパー耐久レース in 鈴鹿」を皮切りに、さらなる水素利活用の拡大に向けた仲間づくり・実証を進めていくと述べている。同レースでは、自動車用樹脂製高圧水素タンクを大量(16本のパッケージを2セット)に使って45MPaで充填し、燃料電池(FC)トラックで大容量の水素を運ぶ実証を実施する。

同実証は、容器に係る経済産業省の認定を受けて実施するもので、国土交通省が進めている水素利活用推進のための検討にも資する取り組みとなる。トヨタは、今後もレースなどの機会を活用し、国の検討とも歩調をあわせ、自動車用として認められている70MPaでの充填に向けた実証も進めていくと述べている。

【水素貯蔵モジュールコンセプトモデルの特徴】

「MIRAI」で採用している樹脂製高圧水素タンクをベースに水素貯蔵容量が異なる3つのバリエーションのほか、大容量化したタンクを使用した大型モジュールもラインアップ。

特徴①水素を「貯める、はこぶ」>

自動車用として高い安全性が確保されている樹脂製水素タンクをパッケージ化したモジュール本体に、稼働状態を自動監視する各種安全装置をインテグレートすることにより、モジュールとしても高い安全性を確保。大容量の水素搭載を実現することで、水素をより安全かつ効率的に「貯める」「はこぶ」ことができるため、水素充填が難しい港湾地域や山岳地域などで多くの水素エネルギーを活用することが可能となる。

特徴②水素を「つかう」>

FC製品の燃料として水素を「つかう」際は、トヨタが2021年3月より販売しているFCシステムモジュールと組み合わせることにより、トラック・バスはもとより、鉄道・船舶などのモビリティや港湾等での荷役機器、定置式発電機など様々な用途において、安全かつ容易に活用できる可能性がある。

 

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