コロナ禍による半導体を中心とした部品の供給不足によって、国産自動車メーカーは大幅な減産に追い込まれている。業界トータルでは130万台にも達するという。新車販売現場での受注活動は通常通り行われているので、納車がスムーズにできず、ユーザーは半年以上も待たされる車種が続出している。
販売店では、ナンバーを取得しユーザーのもとに届けないと代金が入らないので、収益にならず、苦境に立たされている。新車を売ることによる収益は車両本体だけではない。装着するオプション、付属品、アフターケアのサービスパック、クレジットであれば金利のバックマージン、自動車保険など多岐に及ぶ。これらの収益も含めて入金がストップしたままなのである。
受注残状態であるから、生産が回復すればお金が入ってくるので待っていればよいのだが、実際はそんなにあまくない。ユーザーは待ちきれなければ車検をとりキャンセルというケースも増えてきそうである。
販売店は納車をじっと待っていれば商売にならないので、様々の工夫をしている。代わりに中古車の販売をする、保険の勧誘での売り上げ増、サービスパックの販売など、あらゆる業務でカバーしようとしている。半年もすれば、半導体部品の供給は回復するといわれているが、回復は予想以上に遅れている。
自動車メーカーと傘下の販売店は、ユーザーからの受注をやみくもに進めているわけではない。車種、グレード、ボディカラー、装着部用品によっては供給せず、ストップさせているモデルもある。できることはすべてするといった対応である。あまり長引くと自動車メーカーがディーラーへの資金支援を行う必要が生じるかも知れない。
(遠藤 徹)