2020年9月にマイナーチェンジした新型ミニクーパーSD クロスオーバーに試乗させてもらいました。
パッと見では変わったように思えないかもしれない普遍的なミニのデザインですが、今回のマイナーチェンジを機にALL4トリムというパッケージオプションが用意され、SUVらしい力強いデザインへと変化しています。
走りにおいてはミニらしい楽しさがあるものの、安全装備や運転支援についてはネガも散見しました。アバタもエクボとしてそれを受け入れられるかどうかはレポートを見てご判断ください。
■唯一無二、普遍的なデザインこそMINIブランドの魅力
まずは今回のマイナーチェンジで変わった部分ですが、ヘッドランプ内の造形や、ALL4トリムパッケージを装着した仕様では、グリルのパターンが変わっています。
また、ALL4トリムの装備として、フロント下部やサイドロア、リアバンパー下部にもプロテクターのような装飾が付加されます。これによりSUVらしさがより強調されて力強い印象になりました。
今回のマイナーチェンジでは、3ドアのミニで好評だったリアコンビネーションランプにユニオンジャック柄がクロスオーバーにも採用され、リアビューがよりオシャレな印象になったのも朗報です。
やはりミニを所有したいという人は、普遍的で唯一無二のデザインに惹かれるのでしょう。モデルチェンジを繰り返しても色褪せないミニ独自のデザインはさすがとしか言いようがありません。
■内装の変更は最低限、アレが非採用なのは惜しい
続いては内装をチェックしてみますが、マイナーチェンジとは言え変更された部分は最低限となっています。
一番大き変更点としては、アナログメーターがデジタル液晶メーターに変わったことでしょう。デジタル表示の速度と、半円状のタコメーター、そして燃料計などといったとてもシンプルかつオーソドックスな液晶メーターとなっており、これだったらマイナーチェンジ前のアナログメーターのほうが個性的で良かったかもと思えるほど。
2017年のデビュー当時は高精細で先進的と思っていた8.8インチのワイド液晶ナビも、今見ると画面や文字も小さく感じます。ここももう少し大画面化しても良かった部分でしょう。
そして、一番変化してほしかったのが、電動パーキングブレーキにブレーキホールド機能が付かなかった点。BMWグループでは2018年くらいまで頑なにブレーキホールドを付けないプロダクトにしていましたが、X3やZ4以降のモデルには続々とブレーキホールドが当たり前に採用されるようになりました。
ブレーキペダルはドライバーが踏み続けるもの、という信念があったのかもしれませんが、最近のBMWではハンズオフなど自動運転にも積極的になるなど、走りと快適さを両立するBMWの思想には感心させられます。
しかし、このミニクロスオーバーではマイナーチェンジしても、ブレーキホールドの採用はされませんでした。おそらくは次のフルモデルチェンジまで、ミニブランドでのブレーキホールドの採用はないのでしょう。
■ファミリーユースにも耐えうる室内空間とラゲッジスペース
ミニクロスオーバーの全長は4,315mmとヴェゼルよりも短いにも関わらず、後席足元がサイズからは想像できないほど広いのには驚きます。運転席を身長173cmの私のドライビングポジションに合わせても、後席膝前にはコブシ2個分はあります。CセグメントのコンパクトSUVとしては広いほうでしょう。
さらに、ラゲッジスペースも後席を使用している状態でも450Lを確保。サイズも大きい格上のSUVにも負けないラゲッジスペースとなっています。
これならば、後席に大人が乗っても窮屈ではないですし、家族4人程度のファミリーユースにも十分耐えうる後席やラゲッジの広さがあると思います。
内装は以下の動画でもご覧いただけます!
■走りは痛快!クラスを超えた動的質感ながら、残念な点も…
試乗に駆り出してみると、やはり2.0Lディーゼルターボと8速ATの組み合わせは、クラスを超えた上質感があります。
最大トルクの400Nmを1750rpmで発生させるディーゼルターボは、低回転トルクの鬼で、さらに8速ATの上質なシフトフィールはいつギアが変わったのかわからないほどスムーズです。言われなければディーゼルとわからないほど静かで振動の少ないエンジンと、ロードノイズなども抑え込まれたボディも特筆モノ。
ミニらしいゴーカートのような楽しい走りも感じられるクロスオーバーですが、欠点もあります。
それは安全装備や運転支援装備が他メーカーのクルマに比べて劣っている点です。
上記でも述べたように、電動パーキングブレーキはあるけれど、ブレーキホールドが無いのも、ストップ&ゴーの多い街乗りでは不便ですし、昨今では当たり前に装備されている斜め後方の死角にクルマがいることを教えてくれるブラインドスポットモニターもありません。
また、車線逸脱防止支援システムや、同一車線内走行をサポートしてくれるレーンキープアシストなどもありません。
試乗車のミニクーパーSDクロスオーバーALL4では500万円以上の価格帯にもかかわらず、軽自動車にも装備されるようになってきている安全装備や運転支援が付いていないというのも物足りなさを感じてしまう部分です。
しかし、ミニクロスオーバーの本質は、唯一無二の可愛らしいデザインの内外装と、クラスを超えた質感の走りにあります。先進の安全性や運転支援より、見た目のデザインに惚れて指名買いする人がほとんどだと思うので、「アバタもエクボ」でネガティブを上回る魅力に価値を見いだせる人には気にならない欠点かもしれません。
以下の動画でも試乗インプレッションしています!
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[ドラヨス]
月間100万PVのブログ「ワンダー速報」と、登録者数16万人、月間400万再生以上(2021年6月3日現在)のYouTubeチャンネル「ワンソクtube」の管理人。
クルマ買うチューバーを自称し、2か月に1台のペースでクルマを購入してレビューするスタイルが好評。
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