ホンダは5月24日、三菱ケミカル株式会社(以下、三菱ケミカル)、北海道自動車処理協同組合(以下、北自協)と共同で、使用済み自動車(End-of-Life Vehicle、以下、ELV)から回収したPMMA(ポリメチルメタクリレート、以下、アクリル樹脂)水平リサイクルの実証実験を2021年8月に開始すると発表した。
これまでアクリル樹脂の処理にあたっては、分別回収やリサイクルの技術的難度の高さから、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用するにとどまっていた。今回実施するの水平リサイクルでは、使用済みの製品から回収した材料を高度なリサイクル技術でバージン材と同等の性能・品質のリサイクル材に転換し、同一種類の製品の製造に取り組む。この水平リサイクルのシステムが確立すれば、一例としてはELVから回収したテールライトから再度テールライトを製造することが可能になるほか、アクリル樹脂製造・廃棄時のCO2排出量も削減される。
同実証実験では、北自協の各加盟事業者がELVから材料の回収・粉砕、三菱ケミカルが粉砕品を樹脂の原料となる分子状態に戻すモノマー化、並びにそのモノマーを繰り返し結合(重合)することによって生成する高分子化合物(樹脂)を製造するポリマー重合の検証を行う。ホンダは、回収要件の設定、回収輸送、粉砕品の品質確認および全体管理を担当する。同社はこの実証を通じて、異物が混入しない回収手法、バージン材同等の品質達成技術、ELVから回収される樹脂粉砕品の高効率輸送スキームなどを確立させた上で事業性検証を行い、水平リサイクルスキームの構築を目指すと述べている。