アウディは4月19日、2021年の上海モーターショーにおいて「A6 e-tron concept」を披露すると発表した。このコンセプトカーは、未来の電気自動車の新しいテクノロジープラットフォームとして重要な役割を果たす「プレミアムプラットフォームエレクトリック（PPE）」をベースにしており、2022年後半からは大型セグメントで、その後はミッドサイズセグメントでも、PPEテクノロジーをベースにしたモデルの発売を予定している。
＜ダイナミックでエレガントなデザイン＞
今回上海モーターショーで発表される「A6 e-tron concept」は、「A6 TFSIe」とは異なり、アウディ主導で開発した未来のプラットフォーム、PPEをベースにした純粋な電気自動車。さらに、まったく新しいデザインコンセプトを体現しているモデルとなる。Sportbackとしてデザインされ、現行モデルの「A6」と共通しているのは、全長4.96m／全幅1.96m／全高1.44mのサイズだけとなる。単なるデザインスタディモデルではなく、そのスタイルにおいては、アウディの未来の量産モデルがどのような姿になるのかを提示しており、アウディブランドが提供するラグジュアリークラスの電気自動車が、いかにダイナミックでエレガントなスタイルになるのかを示しているという。またエアロダイナミクスにおいては、Cd値（空気抵抗係数）0.22を達成。空気抵抗が非常に少ないことにより、電力消費量を削減し、航続距離を伸ばすことが可能となる。
22インチの大径ホイールと短いオーバーハング、フラットなキャビン、そしてクーペの広いルーフラインはスポーツカーを連想させるプロポーションとなっており、大きく傾斜したリヤサイドウィンドーのデザインは、アウディのスポーツバックモデルの典型的な特徴となる。また、フロントではドライブトレイン、バッテリー、ブレーキを冷却するためのエアインテークを左右に備えた、大型の密閉されたシングルフレームグリルが特徴となっている。他のAudi e-tronモデルと同様、Aピラーの基部には、先進的なカメラベースのバーチャルエクステリアミラーが装着されている。外板色には“Heliosilver”（ヘリオシルバー）を採用しており、太陽光をかなりの割合で反射する塗料のため、クルマのボディ、特に車内に入るエネルギーの量を減らすため、エネルギー消費量を削減するというメリットを提供する。
＜最新のライティングテクノロジーを採用＞
フラットなヘッドライトとテールライトは、スリムなデザインを特徴とし、ボディの同じ高さに設置されている。デジタルマトリクスLEDとデジタルOLEDテクノロジーにより、少ない表面積でも最大の明るさと幅広い機能を実現している。ボディの側面には小型で高解像度の3台のLEDプロジェクターを装着しているほか、車両の隅にも別の4つの高解像度LEDプロジェクターが目立たないように組み込まれ、ターンシグナルを地面に投影する。さらに、デジタルマトリクスLEDフロントヘッドライトは動画を投影する機能も備えている。
＜急速充電が可能、長い航続距離を実現＞
「A6 e-tron concept」には、350kWの合計出力と、800Nmの最大トルクを発生する、2基の電気モーターを搭載。サスペンションは、フロントには電気自動車用に最適化された5リンク式サスペンションが、リヤにはマルチリンクタイプのサスペンションが採用されている。
「A6 e-tron concept」（および将来登場するPPEモデル）の技術的なハイライトは、800ボルトの充電テクノロジーとなり、これにより「A6 e-tron concept」のバッテリーは、「e-tron GT」と同様に急速充電ステーションを利用すれば、最大270kWの出力で、非常に短時間で充電することが可能となっている。アウディは、PPEとともに、この革新的なテクノロジーをミッドレンジおよびラグジュアリーセグメントの量産車に初めて導入し、それにより従来の内燃エンジン搭載車に燃料を補給するのと同じくらいの時間でバッテリーを充電することが可能となる。300km以上を走行可能なレベルまでバッテリーを充電するのに必要な時間はわずか10分間となり、25分以内でバッテリー容量を5％から80％まで充電することができる。
＜SUVと乗用車の両方に採用可能なPPE＞
PPEは、電気自動車専用に設計されているため、このテクノロジーのメリットを最大限に活用することが可能となっており、「A6 e-tron concept」および将来登場するPPEをベースにした車両の重要な特徴は、前後アクスル間に搭載された容量約100kWhのバッテリー容量となる。車両ベース全体を有効に活用することで、比較的フラットなバッテリーレイアウトを実現でき、これはこの単一のプラットフォームを、基本的な構成を変えることなく背の高いSUVモデルだけでなく、「A6 e-tron concept」をはじめとする乗用車にも使用できることを意味している。PPE車両のバッテリーサイズとホイールベースは柔軟に変更することができるため、さまざまなセグメントの車両への採用を可能としている。
＜PPEプラットフォームをベースにしたアウディの量産車は2022年の後半から順次発売予定＞
「A6 e-tron concept」は、革新的な技術プラットフォームであるプレミアムプラットフォームエレクトリック（PPE）をベースにしたモデルで、最初は大型セグメントに、後にミッドサイズセグメントとフルサイズセグメントに導入される車両ファミリーの最初のモデルとなる。このモジュラーシステムは、アウディのリーダーシップの下で、Porsche AGと共同開発されており、PPEプラットフォームをベースにしたアウディの量産車については2022年の後半から順次発売を予定している。
PPE車両は、グローバルに提供されるように設計されており、すべてのブランドの主要な市場での展開を計画している。アウディは、ヨーロッパの製造拠点と同社最大の単一市場である中国の両方でこれらの車両を生産。長春には新しい工場が建設されており、2025年までにはPPEテクノロジーを搭載したアウディの電気自動車の生産を予定している。この工場は、アウディとその合弁パートナーであるVAW-Volkswagen（一汽大衆）が共同で運営している。
