インペリアル自動車博物館のベンツ・ウイントン・パッカード

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ラスベガスのインペリアル自動車博物館の6回目。

1902年メルセデス?ベンツ:表示はチェーン駆動で四速変速機で最高速度85マイル=136㎞だが85㎞の間違いでは。美しいレストアの二座席ランナバウトだった

1902年メルセデス-ベンツとあるが、間違いでは?、メルセデスはダイムラーの商号でベンツの物ではないからだ。この博物館には首をかしげる解説が時々あり、エンジンも4気筒登場は04年のはずで02年は直列二気筒時代。もし四気筒なら年式正しければ世界で現存2台とラジェーター上部の不細工な形も考慮して試作車かもと思うのが素直な解釈だろう。車は性能面で先を越されたダイムラーのメルセデスシンプレックスに追いつこうと開発したフロントエンジンのFR車だった。

1915年ウイントン21型:ウイントン最初の6気筒モデル。

1915年ウイントン21型:クリーブランドの自転車屋、スコットランド生まれのA.ウイントンがベンツを手本に車造りを始めたのは1899年。当初ゴードンベネット杯出場用は1気筒で3.8ℓ、それが1902年は二気筒で8.5ℓもあった。一方04年発売の4ℓ4気筒は評判もよく年間1200台も売れて、米国自動車市場リーダーとなる。
そして徐々に高級車指向に向かって成長するが生き残れず、24年にウイントンの名は消えた。一方、12年に始めた船舶用ディーゼルの生産は続くが、30年にGMの傘下に入った。
余談だが、パッカード誕生にはウイントンが関わっている。買ったばかりのウイントンが帰宅途中に故障・自身で直し走り出すとまた故障。頭に来て店に引返し「こんな車乗ってられない」→ウイントン「お前の運転が悪い文句有るなら自分で造ってみろ」と開き直られて名車パッカードが生まれるのである。

1932年パッカード・ストレイトエイト・ロードスタークーペ:世界の王侯貴族ハリウッドスターが愛したパッカードは高級高品質が売り物だった。WWⅡ前皇室でも御料車として購入。輸入元は大倉財閥系の日本自動車でカタログ最上級車には値段が無いのは注文があれば見積もるということだった。

1932年パッカード/1899~1958:32年型は4形式あり。同年初登場廉価版ライト8/直列八気筒5230cc110馬力・スタンダード8/直八5230cc110馬力・DX-8/直八6300cc135馬力・ツイン6=V12・7300cc160馬力。価格$1750~$7250。+コーチワーク?。
写真の車がどれに該当するか不明だが、見るからに立派だからDX-8二座席ロードスタークーペと推測する。となるとワイヤホイールと白タイヤとフェンダーライトはオプション。
高級車パッカード伝統の直八=ストレイトエイトは滑らか静粛で富裕層に愛された名品。高品質が売り物で終生「パッカードの評判は持ち主に聞いてくれ」がキャッチフレーズだった。

 

車屋四六:1960年頃よりモーターマガジン誌で執筆開始。若年時代は試乗記、近頃は昔の車や飛行機など古道具屋的支離滅裂記事の作者。車、飛行機、その他諸々古い写真と資料多数あり。趣味はゴルフと時計。<資格>元JAFスポーツ資格審査委員・公認審判員計時一級・A級ライセンス・自家用操縦士・小型船舶一級・潜水士等。著書「進駐軍時代と車たち」「懐かしの車アルバム」等々。

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