仏ミシュランは2月23日(現地時間)、2050年までにタイヤを100%持続可能にする取り組みを推進すると発表した。これには、2017年に発表したVISIONコンセプト(エアレス、コネクテッド、3Dプリンティングの活用、100%持続可能原料を使用したタイヤ)の実現に向けた活動も含まれている。
現在ミシュランタイヤは、主原料の天然ゴムに加え、合成ゴム、金属、繊維、強化剤(カーボンブラック、シリカ)、可塑剤(樹脂)、加硫用の硫黄など、200種以上の素材で製造されており、使用する素材は相互作用し、ミシュランの最先端技術によって安全性、快適性、環境負荷低減に優れた性能を提供している。ミシュランタイヤの原材料の約30%は、既に天然素材かリサイクル素材、持続可能な原材料が使用されている。
2050年までにタイヤを100%持続可能にするという目標達成のため、研究開発7拠点で6,000人以上のエンジニア、研究者、化学者、開発者が350の専門分野で研究に取り組んでいる。
<持続可能な未来に向けたミシュランの取り組み>
- 2019年から、バイオバタフライ・プロジェクト(BioButterfly)を主導するアクセンス (Axens、本社:フランス)、IFPEN(本社:フランス)と、石油由来ブタジエンに代わる、バイオマスブタジエン製造に取り組んでいる。この技術で、木材、籾殻、葉、トウモロコシ茎葉などを原料に、年間420万トンの木材チップがミシュランタイヤへリサイクルされる可能性が見込まれる。
- 2020年11月にパイロウェーブ(Pyrowave、本社:カナダ)と提携し、廃ポリスチレン(ヨーグルトポット、食品容器、プラスチック包装など)からリサイクルスチレンを製造。スチレンは、ポリスチレンだけでなく、タイヤその他消費財の合成ゴム製造に使用される。最終的に、年間数万トンのポリスチレン廃棄物を、元の製品やミシュランタイヤにリサイクルすることを目指している。
- キャルビオ(Carbios、フランスの新興企業)が開発したプロセスで、酵素を使用してペットボトルを元の純粋なモノマーに分解。使用済みペットボトルを回収し新しいペットボトルとして繰り返し再利用が可能。リサイクルされる素材には、タイヤ製造に使用するポリエステルが含まれ、年間約40億本のペットボトルがミシュランタイヤにリサイクルされる可能性が見込まれる。
- 2021年2月、エンバイロ(Enviro、本社:スウェーデン)と共にミシュラン初のタイヤリサイクルプラントの建設着工を発表した。カーボンブラック、熱分解油、スチール、ガス、など高品質の再生材料を使用済みタイヤから回収する特許技術を開発。この技術により、タイヤを100%リサイクルすることが可能となる。
- ブラックサイクル(BlackCycle)欧州共同企業体へ参加し、サーキュラーエコノミー(循環型経済)をサポートしている。プロジェクトに資金提供し、13の公的および民間のパートナーが、使用済みタイヤから新しいタイヤを製造するプロセスを設計する。