文:ドラヨス/写真:ドラヨス、編集部
あてもなくドライブするのも良いが、一つのテーマに沿ってドライブするのもまた面白い。
「ワンダー速報」というブログを運営する筆者(ドラヨス)は、ワンダー(不思議)なスポットを巡る「ワンダートラベル」というブログコーナーを不定期に連載しているが、旅行雑誌に掲載されるようなプランとは少し違った視点でドライブしてみたいと思う。
今回の「きままにクルマ旅」は、愛知県北部の文化遺産を巡るドライブ旅。有形無形を問わず、日本固有の文化遺産を巡るのもまた愉しい。
目次
・国宝犬山城「天守に登れる国宝の城」
・博物館明治村「明治期を中心とした近代建築を移築・保存・公開するテーマパーク」
・田縣神社(たがたじんじゃ)「男性器をモチーフにした天下の珍祭として有名な神社」
・大縣神社(おおあがたじんじゃ)「田縣神社と対をなす女性器が祀られた神社」
・ご当地ランチ「元祖台湾カレーのよくばり台湾カレー」
・旅グルマ紹介「レクサスIS300 “F SPORT Mode Black”」
国宝犬山城「天守に登れる国宝の城」
旅の出発地は、名古屋市内からも1時間弱で到着する犬山市にある、国宝「犬山城」。
天守に登れる国宝ということで、お城好きだけでなく多くの人に人気のスポットだ。
駐車場は豊富に用意されているが土日はかなりの観光客で賑わう。
犬山城は室町時代の天文6(1537)年に、織田信長の叔父にあたる織田信康により築城された、現存する日本最古の様式の天守を持つ城。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康など、日本人なら知らない人はいないであろう天下人が奪い合い、さらにマグニチュード8.4の「濃尾大地震」による被害からも修復され、歴史の荒波を生き残ったまさに国の宝だ。
木曽川のほとりの小高い山の上に建てられた天守最上階からの眺めはまさに絶景。戦国時代の天下人も眺めたであろう風景に思いを馳せながら360°のパノラマを堪能できる。
城のあちこちには、敵から城を守る工夫が多数なされているので、当時の築城のアイデアを見て回るのも楽しい。
天守の屋根に施された亀と桃がデザインされた魔除けの瓦などの装飾もユニーク。
犬山城を見学した後は、周辺の犬山城下町の古い町並みを散策してみる。犬山城の創建に伴い、もともとあった町を商人や職人の同業者を近くに住まわせて発展させた城下町は、江戸時代までは城下町の外周を木戸や堀、土塁等で取り囲む「総構え」として栄えていた。
現在も江戸時代と変わらない町割り(町の区画)がそのまま残り、江戸から昭和までの歴史的な建物が立ち並ぶ。昭和の建物もレトロで趣があるのでカメラ散歩も捗る。様々な飲食店や土産物屋も立ち並ぶので、小腹を満たすのも良いだろう。
博物館明治村「明治期を中心とした近代建築を移築・保存・公開するテーマパーク」
犬山城と城下町を堪能した後は。クルマで30分ほどのところにある「博物館明治村 」へ。犬山城と明治村の共通チケットもあるので、それを買っておけば少しお得に入村できる。
博物館明治村は、東京ドーム21個分、敷地面積約100万㎡という広大な敷地に、重要文化財11件を含む明治時代を中心とする60以上の歴史的建造物を移築・保存・公開する野外博物館。
端から端まで歩くと20分以上かかるという広大な敷地は日本のテーマパークとしては第3位の面積を誇る。広大な明治村内を歩きで移動するには大変だが、明治時代に実際に走行していた蒸気機関車や京都市電、村営バスなども利用可能だ(有料)。
帝国ホテル中央玄関はとても人気の建造物なので、近代建築ファンならずとも思わずシャッターを切ることだろう。内部にも入れば、当時の情景が思い浮び、タイムトリップしたような気分になれる。
無機質なコンクリートジャングルに囲まれた現代人にとって、明治村の広大な敷地にある多くの歴史的建造物に触れられる機会は、当時の建築技術とデザインの妙を知ることができるまさにワンダーなスポットだ。
「明治体験処 ハイカラ衣装館」では、有料ではあるが明治時代風ドレスや矢絣・袴姿がレンタルでき、記念撮影や村内を散策することも出来る。当時風の服装に身を包んだ観光客が歩いている光景もまた絵になる。
明治村は映画やドラマの撮影として使われることも多く、筆者などはカメラで建物を撮りながら歩いたが、一日ではすべて回りきれないほどで、何回かに分けて訪問したほどだ。
そのくらい、見どころに溢れたスポットだ。
田縣神社(たがたじんじゃ)「男性器をモチーフにした天下の珍祭として有名な神社」
文化遺産を巡る次の目的地は、犬山城や明治村からクルマで20分程度の小牧市にある「田縣神社」。
田縣神社の歴史は古く、そのルーツは定かではないが弥生時代にまで遡るとされている。醍醐天皇の延長五(927)年に編纂された『延喜式』には田縣神社と記載があので、古くから格式の高い神社として知られていたようだ。
古来より五穀豊穣、家業繁栄、開拓の祖神として崇められ、特に大同2(807)年に編纂された古典『古語拾遺−御歳神の条−』の故事に基づいて男茎形を奉納し祈願する俗習があり、現代においても毎年3月に行われる「豊年祭」としてその祭りは継承されている。
この「豊年祭」は通称「へのこまつり」、「ちんこまつり」などとも呼ばれ、檜で奉製した直径60cm、長さ2m余りの大男茎形(おおおわせがた/男性の性器)を厄男達が御輿で担いで街を周り神社へ奉納、平安衣装を着た女性達は長さ50cm程の木製の男茎形を胸に抱いて行進する。この豊年祭は天下の珍祭として、日本人だけでなく外国人観光客にも人気となっており、多くの人手で賑わう。
恋愛、子宝、安産、縁結び、夫婦円満、商売繁昌、厄除開運、諸病の平癒の守護神としてご利益があるとされているが、2016年には田縣神社豊年祭の御輿行列(お練り)が小牧市指定び無形民俗文化財に指定されている。
境内に入ると正月やお祭りの前後には屋台も並び、男根を連想させる商品もあり観光客に人気だそうだ。
本殿の御神体は撮影禁止だが、その左手奥に進むと奥宮が見えてくる。その道の傍らには男性器の形に似た奇石がいくつも並べられ、社殿には大男茎形が祀られている。賽銭箱の上にある本坪鈴まで男性器の形を模している徹底ぶりに、思わず笑ってしまったほど。
さらにその右手には、「珍宝窟」というこれまた狙いすましたネーミングの祠があり、2つの玉と男性器のシンボルが置かれた賽銭箱には「玉さすり 賽銭いれて 珍となる」というこれまた珍妙な言葉が添えられている。右の玉を触ると家内安全、商売繁盛、金運の願いが叶い、左の玉を触ると恋愛成就、子宝、安産、夫婦和合の願いが叶うと言われており、多くの参拝客で賑わっていた。
大縣神社(おおあがたじんじゃ)「田縣神社と対をなす女性器が祀られた神社」
田縣神社にお参りしたらセットで訪れたいのが、クルマで10分ほどの距離にある「大縣神社」だ。
大縣神社の歴史は古く、社伝によれば御祭神 大縣大神は濃尾平野を見下ろす本宮山の頂に鎮座されていたが、垂仁天皇27年(紀元前3年)8月に現在の地に新宮を営み御遷座されたと伝えられいる。現在の社殿は、寛文元(1661)年に再興された建物で、昭和56年には国の重要文化財に指定されている。
大縣神社は古来より安産・子授など女性の守護神として崇敬されており、女陰をかたどった姫石などが奉納されている。
毎年3月15日直前の日曜日には大縣神社でも「豊年祭」が行われるが、こちらは別名「於祖々祭(おそそ祭)」とも言われ、女陰をかたどった山車などが街を練り歩く。祭りの日はさすがに人出が多いのでドライブには向かないが、そうでない日にも田縣神社とセットでこちらの大縣神社の姫石も拝んでおいたほうがさらにご利益がありそうなのでオススメである。
ご当地ランチ
元祖台湾カレーのよくばり台湾カレー
愛知県に来たならばB級グルメは豊富だが、今回はあまり聞き慣れない「元祖台湾カレー」というお店をチョイスしてみた。
犬山城からもほど近く、田縣神社や大懸神社からでも30分ほどのところにある「元祖台湾カレー」は、台湾まぜそば発祥の店である【麺屋はなび】の新山氏が考案した新感覚カレーライスのお店だ。
店の前には駐車場も豊富に用意されているので、ドライブの途中に寄りやすいお店でもある。
店内はカウンター席とテーブル席が数席あり、入口の食券機でオーダーするタイプだ。
看板メニューでもある「台湾カレー」は小盛りから並盛り・大盛り・特盛り・ダブルと5段階の量が選べるのも嬉しい。
取材時は「台湾カレー(小盛り680円)」と、さらに大食いの人にも満足できる「よくばり台湾カレー(1,400円)」を注文。
「台湾カレー」は、台湾まぜそばにも使用する「台湾ミンチ」と「卵黄」が特徴となっており、一口食べてみると花椒のピリリとした刺激が感じられ、通常のカレーとはまさに一味違った味となっている。
辛いものが苦手の方には台湾ミンチ無しのマイルドカレーも用意してあるので、ご安心を。
「よくばり台湾カレー」は、唐揚げ・炙りトロ肉・半熟卵焼き・九条ネギがトッピングされた、まさによくばりな大食いの人でも満足できるボリュームとなっている。にんにくもたっぷり入っていて、スタミナも付きそう。
どのトッピングも大きく食べごたえがあり、さらに半熟卵焼きがあることで、スパイシーな台湾ミンチの辛さもマイルドに感じられて食べやすかった。
ひつまぶしや味噌煮込みうどん、手羽先や味噌カツ、きしめんや台湾ラーメンなど、名古屋めしは食べ尽くしたという方には、「元祖台湾カレー」も食べてみてはいかがだろうか。
旅グルマ紹介
レクサス IS300 “F SPORT Mode Black”
今回の旅グルマは、2020年に2度目のマイナーチェンジを行ったレクサスISの2.0Lターボモデル、IS300 F SPORTの特別仕様車「F SPORT MODE BLACK」だ。
私の愛車でもあるこのLEXUS IS300 “F SPORT MODE BLACK”は、マイナーチェンジでもパワートレインの刷新は行われず、前期型からのキャリーオーバーにリファインを行って動的質感を向上させている。
大きく変わったエクステリアは、筆者自身だけでなく周囲からの評判も良く、前期型・中期型のややビジーな造形に対して、スッキリとしたシャープさが際立つ「わかりやすいカッコよさ」を身に着けたと言える。全長全幅は30mmほど拡大され、より伸びやかになり、大きく膨らんだリアフェンダーから左右が繋がるリアコンビネーションランプなど、アイコニックなデザインとなっている。
内装についてはマイナーチェンジ前とそれほど変わったところは少なく見えるが、一番のトピックとしては電動パーキングブレーキとブレーキホールドが採用されたことだ。これによりレーダークルーズコントロールは全車速追従タイプになり、レーントレーシングアシストなど最新のレクサスモデルにも引けを取らない安全装備と運転支援にアップデートされた。
走りはと言うと、2.0Lターボエンジンと8速ATの組み合わせはなかなか軽快で、シフトアップのタイミングも早く、低回転を保ったまま車速を上げていけるので静粛性もなかなか良い。
レクサスRXやNXの2.0Lターボモデルには6速ATまでしか搭載されていないため、高速燃費は良くなかったが、IS300には8速ATが搭載されているため、100km/hの巡航でも2,000rpm以下で余裕でこなす。
ステアフィールもFRらしく素直で、高速域ではしっかりと路面を掴んでいる感覚もあり、このあたりはRXやNXなどのロードインフォメーションが希薄な感じよりも好印象。乗り心地も上々だ。
やはり多段ATの恩恵は大きく高速クルーズも快適で、さらにアップデートされた運転支援のおかげで、アクセルブレーキの制御だけでなく白線の中央を維持するステアリング制御もあるので、愛知県からさいたま市までの復路も疲労は少なく帰ってくることができた。
今回の立ち寄りスポットマップ
1=国宝犬山城 2=博物館明治村 3=田縣神社 4=大縣神社 5=元祖台湾カレー
※「マップコード」および「MAP CODE」は、株式会社デンソーの登録商標です。
※ナビの機種によっては、高分解能マップコードに対応していない場合があります。
[ドラヨス]
月間100万PVのブログ「ワンダー速報」と、登録者数15万人、月間400万再生以上(2021年3月1日現在)のYouTubeチャンネル「ワンソクtube」の管理人。
クルマ買うチューバーを自称し、2か月に1台のペースでクルマを購入してレビューするスタイルが好評。
ワンダー速報ブログ:https://wansoku.com/
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