2020年、もっとも売れたクルマはホンダのN-BOX。登録車も合わせた新車販売台数で4年連続トップという圧倒的な人気だ。これに続いて2位は登録車のトヨタ・ヤリスが入ったものの、3位はスズキ・スペーシア、4位はダイハツ・タントと軽自動車が上位に並ぶ。N-BOXに限らず軽自動車、なかでもスーパーハイトの人気の高さが伺える結果といえるだろう。新車販売全体に占める軽自動車の割合も37%となっており、10台中ほぼ4台が軽自動車という状態である。
というわけで全国的に売れている軽自動車だが、その割合は地域によって多少異なっている。そこで今回は、一般社団法人 全国軽自動車協会連合会の統計資料から、2020年3月末時点での全自動車の保有台数に占める軽自動車の割合を都道府県別に見てみよう。
西日本で多い軽自動車、10県で過半数を超える
まず全体として言えるのは、軽自動車は「西高東低」ということ。20年のデータを地方別に分けると、北海道32%、東北44%、関東33%、中部42%、近畿50%、中国49%、四国52%、九州51%という具合。近畿から西は、ほぼ半分以上が軽自動車で占められている状態である。ちなみに全国では39.6%。2020年時点で日本にある自動車のうち、約4割が軽自動車ということになる。
軽自動車の比率が高い都道府県(数字は%) | ||||||
2000年 | 2010年 | 2020年 | ||||
1位 | 鳥取 | 43.5 | 沖縄 | 52.5 | 高知 | 55.4 |
2位 | 島根 | 43.5 | 高知 | 51.8 | 長崎 | 55.1 |
3位 | 高知 | 43.3 | 長崎 | 51.5 | 沖縄 | 54.2 |
4位 | 長崎 | 41.0 | 島根 | 50.2 | 和歌山 | 54.1 |
5位 | 和歌山 | 40.9 | 和歌山 | 50.1 | 島根 | 53.1 |
県別で見ると、50%以上、つまり半分以上が軽自動車となっているのは、多い順に高知、長崎、沖縄、和歌山、島根、鹿児島、鳥取、愛媛、宮崎、佐賀の10県。四国・九州地区が多く、西日本に集中しており、いずれも公共交通機関が未発達な地域が多い。ただ同じように公共交通機関が発達していない東北地方は、西に比べると低い割合になっている。これは積雪が多いためといわれており、軽自動車の割合を左右するのは、公共交通機関+気候が大きな要素といえそうだ。
ここで注目は沖縄県。20年前の軽自動車の割合は30%で、全国の中ではむしろ低い方だったのが、その後は急上昇。2010年は全国トップという増加ぶりである。沖縄は高速道路が60kmしかなく、細い路地も多いなど、もともと軽自動車に向いた環境だが、この急増の背景としては観光客数の増加に伴うレンタカーとしての需要の高まりも一因となっているようである。
東京でも今や2割が軽自動車
一方、軽自動車の割合が低いのはどの地域かというと、東京が圧倒的に低く、次いで神奈川県。この順位は20年前から変わっていない。
軽自動車の割合が低い都道府県(数字は%) | ||||||
2000年 | 2010年 | 2020年 | ||||
1位 | 東京 | 12.1 | 東京 | 17.3 | 東京 | 21.0 |
2位 | 神奈川 | 14.4 | 神奈川 | 21.5 | 神奈川 | 26.6 |
3位 | 北海道 | 18.4 | 埼玉 | 27.9 | 北海道 | 32.2 |
4位 | 埼玉 | 18.5 | 北海道 | 27.9 | 愛知 | 32.4 |
5位 | 千葉 | 19.6 | 千葉 | 28.1 | 大阪 | 33.1 |
東京、神奈川に限らず、基本的に大都市圏は軽自動車の比率が低い。都市部は公共交通機関が発達しているので“日常の足”としての軽自動車の必要性が低いためだ。
東京の場合、さらに住環境としても2台以上の駐車場を確保するのが難しい、ということもある。地方では1人で1台も当たり前だが、東京では1家に1台が大半。通勤や近所の買い物は電車やバス、自転車、徒歩が大半となれば、所有する1台は長距離移動にも適した登録車が選択されることが多くなる。
しかし、そんな東京でも今では2割以上が軽自動車に。高齢者が増えたこともあるが、軽自動車の性能が向上し、ファーストカーとしても十分役目を果たせるようになったことも、軽比率上昇の要因といえるかもしれない。
ただし、公共交通機関が発達していない地域でも、軽自動車比率が低いところがある。それが北海道だ。その要因は寒冷な気候もあるが、何よりも移動距離が長いことが最大の要因。本州とは「ちょっとそこまで」の距離が全然違うのだから、軽自動車だと厳しい条件だ。が、それでも今や3割が軽自動車。最新の軽自動車なら長距離移動も苦にならないから、北海道でも今後は軽自動車比率がさらに上昇していきそうだ。(編集部)
都道府県別 軽自動車割合
保有台数に占める軽自動車の割合 | |||
都道府県 | 2000年 | 2010年 | 2020年 |
北海道 | 18.4 | 27.9 | 32.2 |
青森 | 32.8 | 42.7 | 46.6 |
岩手 | 32.9 | 43.0 | 45.9 |
宮城 | 25.7 | 35.3 | 38.2 |
秋田 | 35.1 | 43.0 | 47.0 |
山形 | 35.4 | 42.6 | 45.4 |
福島 | 29.9 | 38.8 | 41.3 |
茨城 | 23.4 | 32.2 | 37.1 |
栃木 | 23.6 | 31.5 | 36.9 |
群馬 | 27.4 | 35.6 | 40.3 |
埼玉 | 18.5 | 27.9 | 34.1 |
千葉 | 19.6 | 28.1 | 33.4 |
東京 | 12.1 | 17.3 | 21.0 |
神奈川 | 14.4 | 21.5 | 26.6 |
山梨 | 32.5 | 41.7 | 45.9 |
新潟 | 34.5 | 42.2 | 46.3 |
富山 | 31.0 | 37.7 | 41.9 |
石川 | 28.0 | 36.3 | 39.9 |
長野 | 35.6 | 43.7 | 47.8 |
福井 | 32.2 | 40.1 | 43.9 |
岐阜 | 28.2 | 36.6 | 41.0 |
静岡 | 28.2 | 37.1 | 42.2 |
愛知 | 20.4 | 28.7 | 32.4 |
三重 | 32.8 | 40.4 | 44.1 |
滋賀 | 34.0 | 41.5 | 45.9 |
京都 | 26.8 | 35.6 | 40.2 |
大阪 | 22.1 | 29.3 | 33.1 |
奈良 | 29.1 | 38.0 | 43.6 |
和歌山 | 40.9 | 50.1 | 54.1 |
兵庫 | 26.8 | 34.0 | 37.6 |
鳥取 | 43.5 | 49.9 | 52.6 |
島根 | 43.5 | 50.2 | 53.1 |
岡山 | 37.9 | 45.0 | 48.3 |
広島 | 33.6 | 41.2 | 44.6 |
山口 | 37.9 | 44.7 | 47.5 |
徳島 | 38.0 | 45.5 | 49.5 |
香川 | 38.8 | 45.0 | 49.1 |
愛媛 | 39.6 | 48.1 | 52.2 |
高知 | 43.3 | 51.8 | 55.4 |
福岡 | 29.4 | 37.4 | 41.2 |
佐賀 | 39.6 | 48.0 | 51.1 |
長崎 | 41.0 | 51.5 | 55.1 |
熊本 | 34.8 | 44.6 | 48.7 |
大分 | 36.3 | 45.3 | 49.3 |
宮崎 | 39.7 | 49.1 | 51.9 |
鹿児島 | 39.0 | 49.2 | 52.8 |
沖縄 | 30.0 | 52.5 | 54.2 |
全国計 | 27.0 | 35.5 | 39.6 |
(全国軽自動車協会連合会資料より作成 数字は%) |