一般社団法人日本自動車部品工業会(部工会、尾堂真一会長)は、2020年11月1日現在での自動車部品工業の2020年度第2四半期(4〜9月)経営動向を発表した。
対象企業は、部工会の会員企業426社のうち、上場企業で自動車部品の売上高比率が50%以上、かつ前年同期比較が可能な自動車部品専門企業66社で、各社の連結決算短信より集計・分析している。なお、日本基準適用企業(50社)と国際財務報告基準(IFRS)適用企業(16社)は、合算しての集計となった。
66社すべてが減収・減益
売上高については、前年同期比25.5%減の9兆5167億円、営業利益は2075億円の赤字となり、リーマンショック以来の大幅な落ち込みとなった。
売上高は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大による大幅な市場の冷え込み、および生産困難な状況が大きな要因となり、利益は売上高の大幅な減少にともない減益となった。
一方、21年度通期の業績見通しでは、同コロナウイルス感染拡大による不確定要素が多いとしながらも、売上高・営業利益ともに上方修正、営業利益は第2四半期の赤字から黒字に転換する見通しだ。通期見通しを発表した58社合計の売上高は、前年比13.8%減の20兆4443億円、営業利益は同37.2%減の4000億円、当期純利益は同46.7%減の1335億円としている。
DX化による新しいものづくりを推進
尾堂会長は会見で、コロナ禍への対応に加え、自動車産業は「CASE、MaaSといった100年に1度の大変革期を迎えると同時に、カーボンニュートラルへの迅速な対応も強く求められている状況」と説明。2050年脱炭素社会に向けた環境のシフトに対しても「DX(デジタルトランスフォーメーション)化による新しいものづくりの価値を共存していく施策、経営者向けのセミナーや開発現場向けの研究会の発足など、2021年から本格的に取り組んでいく」と方針を明らかにした。
最後に、「ポストコロナ時代においても、自動車産業ならびに自動車部品産業が日本経済の復興の牽引役を果たすべく、迅速かつ的確な変化への対応を行っていくために、部工会として会員企業の取り組みを支援するための環境整備に向け、現在進めているカーボンニュートラルへの施策、政府との連携や必要に応じて提言を行っていきたい」と締めくくった。