ブリヂストンは10月28日、熊本大学大学院先端科学研究部(工学系)の松田俊郎 准教授(以下、熊本大学)との共同研究により、公共交通の持続可能な発展に貢献するEVバス専用タイヤのプロトタイプを開発したと発表した。
昨今では、CO2排出量が少なく環境性能に優れたEV車両の導入が急務となっている一方、主要な公共交通である路線バス用のEVバスは価格が高く、タイヤを含めたトータルコストを下げることが課題となっている。ブリヂストンでは上記課題を受け、環境省の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の協力者として、2018年より熊本大学をパートナーとしたオープンイノベーションを推進し、EVバス普及に貢献するソリューションの構築を目指しており、2018年に開始した熊本市での実証試験においては、熊本大学のEVバスへの知見と同社のタイヤ開発の技術を組み合わせることで、タイヤの転がり抵抗の低減がEVバスの回生エネルギーの増加に繋がり、EVバスの電費削減が可能となることを確認している。
今回開発したプロトタイプは、EVバス運用時のトータルコスト削減を目的として、EVバス専用タイヤに求められる性能を追求したタイヤで、新しい溝形状の採用により、これまでの路線バス用のタイヤと比較して、摩耗ライフを維持しながらウェット・雪上路面でのトラクション性能を向上させ、転がり抵抗を20%低減することで、EVバスの走行に必要な電気エネルギーを10%削減することが可能となり、1年間で約50千円の電費削減によるコスト削減効果が期待できるという。
今後、2020年10月に開始した横浜市での実証実験の場等を活用し、コスト削減効果の確認に加えてEVバス特有の車両制御とタイヤのマッチングについての評価を行い、EVバス普及実現に向けての検証を推進するとしている。
同社は、「2050年にサステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社であり続ける」ことをビジョンとして掲げており、その実現に向けて、コア事業である足元のタイヤ・ゴム事業の更なる強化と、様々なイノベーションを基盤とした画期的なソリューションを通じて、顧客価値を提供するとともに、安全・安心なクルマ社会の実現と進化するモビリティ社会・サーキュラーエコノミー・CO2削減などに貢献すると述べている。