BMW M社が開発する高性能マシンMモデルには、サーキットでの走行を可能としたMハイ・パフォーマンス・モデルと、サーキットで培われた技術を余すことなく取り入れ走行性能を高めたMパフォーマンス・モデルの2つのカテゴリーがある。今回発売した「 M5」はMハイ・パフォーマンス・モデルに位置付けられ、「M550i xDrive」はMパフォーマンス・モデルに位置付けられる。
両モデル共に、高性能3眼カメラ&レーダー、および高性能プロセッサーによる高い解析能力の最先端運転支援システムを標準装備しており、高速道路での渋滞時において、ドライバーの運転負荷を軽減し安全に寄与する運転支援システム「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」が装備され、一定の条件下において、ステアリングから手を離しての走行が可能なモデルへと進化している。
【Mハイ・パフォーマンス・モデル新型「M5」】
新型「M5」は、BMW M社が開発したV型8気筒Mツインパワー・ターボ・エンジンを搭載し、ドライブロジック付き8速Mステップトロニック・トランスミッションおよび後輪駆動を重視した4輪駆動システムM xDriveを組合せ、高性能エンジンの性能を最も効率的に引き出し路面に伝達することが可能なレーシング・モデル。最高出力600PS(441kW)/6,000rpm、最大トルク750Nm/1,800 -5,600rpmを実現すると共に、0-100km/h加速は、3.4秒を達成している。
デザインでは、新型「5シリーズ」と同様に、ヘッドライトのデザインをL字型のLEDライトを採用することで、BMW伝統の4灯ヘッドライトを表現しながら、モダンかつスポーティなイメージを強調している。BMW伝統のL字型リヤ・コンビネーション・ライトをより立体的な造形とし、周囲をブラック・アウトすることで、精悍な印象を与えている。さらに、ダブル・バー・キドニー・グリルやボディ側面のエア・ブリーザーに装備されたMギルによってBMW Mハイ・パフォーマンス・モデルであることを主張している。
またBMW Mモデルの特徴でもある、エンジン・レスポンス、ステアリング、サスペンション特性をドライバーが任意に設定変更できる機能に、新たにブレーキ・システム設定の変更が追加されたほか、新システムとしてセンター・コンソールに「M MODE(Mモード)」ボタンが追加された。これにより、メーター・パネル、ヘッドアップ・ディスプレイの表示方法や、運転支援システムの介入レベルを「ROAD(ロード)」「SPORT(スポーツ)」いずれかのモードに変更することが可能となった。「ROAD」は基本設定として全ての運転支援システムが有効になり、「SPORT」はドライバーが任意に設定した情報に基づいて、前車接近警告および衝突回避・被害軽減ブレーキを除く全てのブレーキやステアリング・システムへの介入を無効にすることが可能となっている。
【M専用インテグレーテッド・ブレーキ・システムを標準装備】
標準装備となるM専用インテグレーテッド・ブレーキ・システムは、アクセル全開時の高負荷条件下でも優れた安定性を実現するように開発されており、ブレーキの作動、ブレーキ・ブースター、ブレーキ制御の各機能をコンパクトに統合すると共に、非バキューム式のブレーキ・ブースターを採用することで、約2kgの重量削減を実現している。ブレーキ圧は電動アクチュエーターによって生成され、より素早く正確な制御ができるのに加え、インテグレーテッド・ブレーキ・システムによって、ドライバーは任意に車両の減速度を調整することが可能となっている。さらに、より快適性を重視した「COMFORT」モードと、素早い反応を重視した「SPORT」モードの2種類のペダル・モードの設定があり、車両を減速させるのに必要なブレーキ・ペダルの踏み込み量を変更することができ
るため、濡れている路面や、横方向の加速度が大きい、ブレーキ温度が高い、といった状況下でも、ブレーキ・ペダルの感覚を一定に保ち、常に正確な制動力の制御が可能となっている。
【V型8気筒Mツインパワー・ターボ・エンジン】
新型「M5」に搭載されたV型8気筒エンジンは、BMW M社が培ってきた最先端の技術を余すことなく採用し、アクセル・ペダルの微細な操作にも鋭く反応し、ドライバーの意思に敏感に呼応する、高性能エンジン。2基のターボチャージャーへ排気ガスを供給するエグゾースト・マニフォールドは、クロスバンク型を採用することで、最大限に排気エネルギーを活用しながら素早いレスポンスを可能としているほか、燃焼室に燃料を供給するダイレクト・インジェクション・システムの最高噴射圧力を350barまで高めることで、極めて微細な霧状の燃料噴射を実現し、より高効率な燃焼を可能としている。
また、オイル供給には高いレベルでのサーキット走行を考慮して、オイル・パンのフロント側に小型のオイル・チャンバーを搭載し、極度の横方向および前後方向の負荷がかかる状況下でも、必要に応じて小型チャンバーから追加でオイル供給を可能にする吸引システムを採用している。
【BMW M社が開発したインテリジェント4輪駆動システムBMW M xDriveを標準装備】
標準装備のインテリジェント4輪駆動システムM xDriveは、高性能エンジンから発生したトルクをフロントとリヤに無段階かつ可変的に振り分け、さらに、アクティブMディファレンシャルの搭載によって2つのリヤ・ホイール間のトルクを最適化し振り分けることで、安定した路面でのスポーツ走行から、路面状況が変化する環境下での走行まで、必要に応じてトラクションを最適化し、俊敏性、走行安定性を大幅に向上させている。特に新型「M5」では、ダイミック・スタビリティ・コントロール(DSC)の介入は極端な状況のみに限定さ
れており、エンジンから発生するエネルギーを、推進力としてほぼ無駄なく利用可能となっている。
またM xDriveは、後輪駆動重視しており、リヤ・ホイールに優先的に駆動力を振り分け、車両が安定性を保つために必要なタイミングを見極めて、フロント・ホイールに駆動力を供給する。ドライバーは必要に応じてフロント・アクスルとリヤ・アクスルの間の駆動力配分を設定することも可能で、初期設定の「4WD」モード、ほぼ後輪駆動に近い「4WD SPORT」モード、DSCをオフにし完全な後輪駆動走行となる「2WD」モードが用意されている。
【モーター・スポーツ由来のアグレッシブなデザインと、ラグジュアリーな優雅さを兼ね備えたインテリア】
インテリアは、モーター・スポーツ由来のアグレッシブなデザインとラグジュアリーな優雅さを兼ね備えた室内空間を実現。Mモデルらしさの象徴として、Mレザー・ステアリング・ホイールに装備された赤色のMボタンやセンター・コンソールの赤色のスタート/ストップ・ボタンをはじめ、新デザインのセレクター・レバーにはMのロゴが刻まれ、Mモデル・カラーのステッチが施されている。また、カーボン・ファイバー製インテリア・トリムにより、高性能スポーツ・モデルの個性を際立たせている。新開発のスポーツ・シートは立体的にデザインされ、両脇のサイド・ボルスターや肩回りは大きくせり出す形状を採用することで、ドライバーを快適に包み込むデザインとなっており、ヘッドレストには「M」のロゴがデザインされた照明付きモデル・バッジが装備されている。
【新型「M5 Competition」】
同時にランアップされる新型「M5 Competition」は、よりアグレッシブなスポーツ走行を想定したモデルであり、エンジンからデザインまで、特別なセットアップが施されている。Competitionモデル専用に開発されたV型8気筒エンジンは、車両構造部との接続部をより強固にする、極めて硬い専用のエンジン・マウントを採用し、より直接的な動力伝達が可能となっており、最高出力は625ps(460kW)/ 6,000rpmを発生、0-100km/h加速は3.3秒を実現している。
デザインにおいては、ハイグロス・ブラックのキドニー・グリルとモデル・バッチ、ドア・ミラー、リア・スポイラーが装備され、よりアグレッシブなデザインとなっている。また、新型「M5」に初めて採用のMモード・ボタンでは、新型「M5」の「ROAD(ロード)」「SPORT(スポーツ)」に加えて、運転支援システムの快適性と安全性に関する全ての機能が無効になる「TRACK(トラック)」モードが装備されている。
【Mパフォーマンス・モデル新型「M550i xDrive」】
新型「M550i xDrive」には、最高出力530PS(390kW)/ 5,500rpm、最大トルク750Nm/1,800-4,600rpm を発揮するV型8気筒ツイン・ターボ・ガソリン・エンジンを搭載し、0-100km/h加速は3.8秒を実現している。また、BMWのインテリジェント4輪駆動システム「BMW xDrive(エックス・ドライブ)」、Mアダプティブ・サスペンション、Mディファレンシャルによって、悪路でも安定したコントロールとスポーティな走りを実現することが可能となっている。さらに、Mパフォーマンス・モデル専用色となるセリウム・グレーをキドニー・グリル、エア・インテーク、エア・ブリーザー、ミラー・キャップに採用することで、ハイ・パフォーマンス・モデルとしての存在感と個性を演出している。
<価格(消費税込)>
- M550i xDrive:1,319万円
- M5:1,792万円
- M5 Competition:1,877万円