日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がフルモデルチェンジを実施。6年振りのモデルチェンジを機に「デイズルークス」から名前が改められた新型車は、デザインだけでなく、プラットフォーム、エンジン、電子システムを一新し、走行・安全性能、使い勝手など大きく進化を遂げた。
ルークスのグレードは、大きく分けてスタンダードなルークスとカスタムグレードのハイウェイスターの2種類。エクステリアは、Vモーショングリルや切れ長のヘッドライト、縦長形状のテールランプがシャープなイメージを与えている。
もともと広さに定評のある室内空間は、後席ニールームは795mmあり、大人が足を組んでもゆとりがある程のスペースが確保されていた。また、後席の室内高は1400mmと、小さな子供であれば立ったまま着替えることも可能だ。
後席は左右独立のスライド機構を持ち、格納は背もたれが前へ倒れながら座面が下がる形となり、使い勝手も良好。さらに、オプションの快適パックを装備すると、前席と後席の間の頭上にプラズマクラスター搭載リヤシーリングファン、後席バックテーブルなどが装備される。試乗当日は気温が30度近くまで上昇し、後席に座った際には涼しい風がすぐに席まで届き非常に重宝した。+3万3000円とコストパフォーマンスも高いので、ぜひ装着をおすすめしたい。
エンジンは、ルークス/ハイウェイスターはNA、ターボはハイウェイスターのみに設定され、いずれもSM21モーターを組み合わせたS-HYBRID(スマートシンプルハイブリッド)仕様となっている。今回はハイウェイスターのNAとターボに試乗する機会を得た。
■ファーストカーとして使うならターボモデル
まずはNAモデルに試乗してみるが、アクセル開度が低い時のエンジン音が低く抑えられており、街乗りの速度域での静粛性も良好。走り出しからの加速では非力さを感じるが、スピードが乗ればそこまでのストレスは感じない。
時速80㎞巡航で3000回転、100㎞巡航では3500回転前後で推移する一方で、高速での本線合流時、追越時、坂道等の一時的な加速ではアクセルを深く踏み込むことが多くなり、エンジン回転数は5000を超える場面が多く見られた。複数台所有のセカンドカーや、日常の足として使うことを考えればNAの動力性能でも不足はないだろう。
ターボは発進からもたつきを感じさせず、中高速域での加速レスポンスも良好で、高速での合流や再加速もスムーズ。デイズと比べて車重が約100kg増となっているが、それを感じさせない軽やかな走りは好印象であった。長距離や高速の利用が多く、ファーストカーとしてのニーズであるならばターボモデルを強くおすすめしたい。
NAとターボに共通していたのが、静粛性の高さだ。4000回転を超えなければ室内の届くエンジン音はほぼ気にならず、ロードノイズや風切音も抑えられているので、前席と後席の乗員が話をするときも必要以上に大きな声を出すこともなかった。
ハンドルの操舵感は必要以上に軽くなく、癖もないので見晴らしの良さと合わせて運転はしやすい。乗り心地はソフトな印象でスーパーハイト系のため横風の影響は受けやすいが、特有の腰高感はなく、カーブでも思いのほか踏ん張りのある走りを見せてくれた。
また、ACCは全車速に対応しており、電子パーキングブレーキを採用するため停止保持機能も有するのが大きな特徴。今回ターボモデルに試乗して主に首都高を走ったが、湾岸線で時速80kmにセットした追従走行時ももたつかず加速し、追いついた時の減速制御も不自然さが無かった。
レーンキープは車線の中央をしっかりとトレースし、車線を保持する制御感も違和感がなく、操作感覚や運転支援の介入の仕方も含めて安心感の高さは特筆すべき点と言える。
このほか、対向車がいてもハイビームを維持できるハイビームアシストの進化機能である「アダプティブLEDヘッドライトシステム」や、万が一の事故の際の自動通報をはじめ、あおり運転や急病などの緊急事態にも手動で通報できる「SOSコール」など、上級車に匹敵する装備も充実しているルークス。N-BOX、スペーシア、タントと競合がひしめく軽スーパーハイトワゴンの中でも、確かな存在感を示す1台となることは間違いなさそうだ。