一般財団法人 トヨタ・モビリティ基金(Toyota Mobility Foundation。以下「TMF」)は、運輸省、バンコク首都圏庁、首都圏警察、チュラロンコン大学、モビリティに関わる民間事業者と共に、タイのバンコク都において、渋滞緩和を目指し実証を行うプロジェクトを開始すると発表した。実証期間は2019年11月からの約18か月間の予定としている。
上記プロジェクトは、2015年から2017年に実施した第1フェーズのプロジェクトを拡張するもので、第1フェーズでは、交通需要の調整や流量を改善するための、パーク&ライドやシャトルバスの運行、交通信号制御の最適化等の交通マネジメント手法を試行し、その成果や学びをまとめ、渋滞緩和に向けた提言書(ロードマップ)としてタイ政府に提出した。
第2フェーズでは、従来型の交通マネジメント手法に加え、ビッグデータやAIを活用することで、都市全体の渋滞緩和に向けたより効率的な仕組みの実現を目指す。具体的には、タクシー、公共バス等から提供される車両のGPSデータや、映像等の多様なデータを、チュラロンコン大学や人工知能による交通分析・予測サービスを提供する専門家等と共に分析し、交通状況を視覚化し、渋滞等の問題発生の傾向とパターンを把握し、その分析結果を、交通管理システム、交通網計画や都市計画にも反映していく予定としている。
TMFは、2014年8月の設立以来、豊かなモビリティ社会の実現とモビリティ格差の解消に貢献することを目的に、ベトナム、インド、ブラジルでの交通手段の多様化や、日本の中山間地域における移動の不自由を解消するプロジェクトへの助成のほか、障害者向けの補装具開発を支援するアイデアコンテストの実施、水素研究の助成、人工知能による交通流最適化の共同研究など、世界のモビリティ分野における課題に取り組んでいる。今後も、トヨタの技術・安全・環境に関する専門知識を活用しながら、大学や政府、NPOや調査研究機関等と連携し、都市部の交通課題の解消、パーソナル・モビリティ活用の拡大、次世代モビリティ開発に資する研究などの取り組みをすすめていくと述べている。