パリジェンヌの足となるレンタサイクル

コラム・特集 車屋四六

今でこそ珍しくもないが、2008年シャンゼリゼでレンタサイクルを見た時には、フランス人は賢いと感心したものである。僅か10年前のことだが、勝手気ままになった日本人では通用しないシステムだとも感じた。

自治体主導で使い回しの傘や自転車を用意した時も、返却せずに私物化する奴、扱い乱暴で壊してしまう奴、いろいろ居て、便利なシステムもほとんどが挫折していたからである。

日本は発展途上国ではない…江戸時代「高い」と西洋人が感心した公衆道徳は、明治以降さらに磨かれ、ほとんどの人達が読み書き出来る、高度な文化国家だったのである。

混雑すれば道を譲る、肩が触れれば謝罪を口に出す、未知の人でも互いに挨拶する、そんなことは私が子供頃までの日本では当たり前のことだった。

レンタサイクルを20台積んでシャンゼリゼを走るレンタサイクル運搬車

さて、近頃パリに行っていないので判らないが、前はカードで借りられるレンタサイクルをやっていた。この自転車はクレジットカードでロックが外れ、返却時の記録で課金をされるようだ。都合の良い駐車場で借り、目的地で返す、この乗り捨て自転車は素晴らしいと感心したのである。

カード記録が残るから私物化するような不心得者は出ないだろうが、車はどれも綺麗で気持ちよく乗れる、日本ならたちまち傷だらけになるだろうと思った。

パリには其処らじゅうに駐輪場があり、ポールの上部にICカードをかざせばロックが外れ、返却時は車体出っ張りをポールに固定し上部にカードをかざし終了。料金が距離か時間かは不明だった。

フレーム右の出っ張りがポールに固定されている。ポール上部にカードの受発信部が

駐輪場の並びにバイクの無料駐車枠があり行儀良く並べられている。欧州は車に親切と思った。日本のように、やたら駐車禁止なのに駐車場も駐輪場も見つからないのは如何なものかと思う。

ふと思ったのは、有名観光場所、朝のオフィス街などに溜まってしまうのではという心配だが、自転車を20台積んだ運搬車を街で見掛けて心配解消…カード信号の管理で足りない・一杯が地域ごとに判り、センターからの指令で運搬車が走り回っているようだ。

この方式ならクレジットカードがあれば言葉が通じない外国人でも使えるのが有り難いが、日本では傷だらけになってしまうだろう。
傷と云えば、ローマでも見たが、パリの乗用車はバンパー傷だらけが多い。こいつは日本人には耐えられない風習だ。彼等は極小前後間隔で駐車し、駐車台数を増やすのだ…そして出る時は前の車を押し、後ろの車を押して車間を拡げて出て行くのである。

で、運転手付、専用駐車場確保車以外はバンパー傷だらけ。バンパーは押すためにあると云う。バンパーが鉄の時代は良かったろうが、ウレタンになっても止めないのは合理的を優先させるのだろう。だから駐車時は、駐車ブレーキは極軽く、ゆめゆめPに入れてはいけないと注意された。勿論マニュアルならNである。

パリの駐車の仕方はこんなもの。バンパーは飾りでなく名前のように実用品である

 

車屋四六:1960年頃よりモーターマガジン誌で執筆開始。若年時代は試乗記、近頃は昔の車や飛行機など古道具屋的支離滅裂記事の作者。車、飛行機、その他諸々古い写真と資料多数あり。趣味はゴルフと時計。<資格>元JAFスポーツ資格審査委員・公認審判員計時一級・A級ライセンス・自家用操縦士・小型船舶一級・潜水士等。著書「進駐軍時代と車たち」「懐かしの車アルバム」等々。