10月1日から消費税率が10%に2%引き上げられるが、自動車の場合、今回はその影響が極めて軽微となっている。
理由はいろいろある。2%引き上げられても自動車取得税の廃止、環境税の導入などで相殺され、フルハイブリッド、クリーンディーゼル、電気自動車などは実質1%程度の引き上げにとどまったりしている。NA(自然吸気)ガソリン車の中でも、燃費の良いモデルは環境税軽減の対象になるケースもある。
従来だと実施前は駆け込み需要があり、実施後はその反動で買い控えとなり、トータルするとマイナスになるパターンがほとんどだった。それが今回、どちらも発生が小規模におさまりそうな趨勢となっている。
5月か6月頃まではチラシやDMなどで「消費税引き上げが迫っています。今が新車購入のチャンスです」などと呼びかける販売店があったが、その後最近まで、まったく影を潜めた状況になっている。
メーカー営業部の指示で「消費税引き上げ前の駆け込み需要を煽るような宣伝はやめて欲しい」といった呼びかけをしているメーカーもある。9月は中間決算セールで、本来であれば駆け込み需要と重なり、増販攻勢をかける状況にありそうだが、あまり目立っていない。メーカーの拠出金もそれほど出ていない印象がある。
それより10月25日から東京モーターショーが始まるため、それに向けて従来モデルのフルモデルチェンジ、マイナーチェンジ、一部改良、追加モデルの設定などで商品ラインアップを強化しているので、それによる新型車効果で盛り上げた方が得策との判断があるのかも知れない。駆け込み需要が少なくなれば、消費増税実施後の買い控えも軽微になるに違いない。
[遠藤徹プロフィール]
専門分野はマーケット分析、商品戦略、販売戦略、執筆先:ベストカー、ドライバー、ザ・マイカー、カーアンドレジャー、その他週刊誌など。単行本執筆は約20冊