CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの専門機関J.D. パワー ジャパンは8月21日、2019年日本自動車初期品質調査SM(Initial Quality Study、略称IQS)の結果を発表した。
この調査では、新車購入後2~9ヶ月経過したユーザーを対象に8分野1233項目でユーザーの不具合経験を聴取。すべての不具合項目は車100台当たりの不具合指摘件数(Problems Per 100 vehicles = PP100)として集計され、数値が低いほど品質が高いことが示される。
●ダイハツ・キャスト、ミラトコットが過去最少の不具合指摘数
2019年の調査結果では、総合不具合指摘件数は66PP100。前年の67PP100と同水準となり、分野別詳細項目別でも前年との大きな変化はみられず、業界平均の不具合レベルは前年と同水準という結果となった。
ブランド別では、2018年、2019年とも調査対象となった15ブランドのうち、6ブランドで初期品質が改善した一方、8ブランドで初期品質が低下する結果となり、ブランドにより明暗が分かれる結果となった。
中でも、モデル別ではダイハツのキャストとミラトコットが32PP100となり、日本市場のJ.D. パワー調査で過去最も不具合指摘の少ないモデルとなった。
●消費者ニーズが高まる安全装備
各種安全装備の中でも「衝突回避/警告システム」、「車線逸脱警告システム(レーンキープアシスト)」、「パーキングアシストシステム(警告音/視覚センサー、カメラなど)」、「死角モニタリング/警告システム」の4種の先進安全装備率は継続的に高まっている。
4種の中では「衝突回避/警告システム」の装備率が最も高く、77.5%に達している。また、装備率の増加が目立つのは「車線逸脱警告システム(レーンキープアシスト)」で、2017年の48.5%から2019年の69.9%の21.4%増。次いで「パーキングアシストシステム(警告音/視覚センサー、カメラなど)」の65.0%(対2017年+14.5%ポイント)、「死角モニタリング/警告システム」の47.9%(対2017年+13.6%ポイント)と、いずれも普及が進んでいる結果となった。
●不具合の経験で評価が著しく低下
「価格が高くても最新の安全装備のある車を購入したい」とするユーザーは2017年調査の65.0%から2019年調査では69.3%に増加しており、安全にかかわる装備の普及、消費者のニーズはさらに高まっていると言える。
安全装備4種は、いずれも装備ありの車両の方が装備なしの車両よりも、車両に対する品質・信頼性評価が高いが、装備の操作性に不具合を感じた場合のユーザーの車両の品質・信頼性評価は、装備なしの車両よりも低くなる。
例えば「衝突回避/警告システム」の場合、装備車両の平均評価は7.75ポイント(10段階評価の平均)、非装備車両の平均評価は7.17ポイントだが、装備車両保有者の中で操作性に不具合を経験したユーザーの評価は6.54ポイントまで低下する。また操作性に不具合を経験したユーザーの同メーカー再購入意向率は75.4%、業界平均81.0%に比べても低い意向となる。
J.D. パワー オートモーティブ部門シニアディレクター 川橋 敦氏は、「安全装備や新技術の装備率が高まり、ユーザーの期待や関心も高い。これらの機能を装備することは車両の品質・信頼性評価を高めるが、設定のしづらさなど操作性に不具合を感じると車両評価は著しく低下し、同ブランドの再購入意向にも影響を及ぼす。顧客視点でユーザビリティを改善させることが、ユーザーの装備に対する信頼感を高め、商品性向上に繋がるといえる。」とコメントしている。