2009年の創業以来、トヨタ・ハイエースをベースにしたバンコン(バンコンバージョン)を数多く製造してきた「ダイレクトカーズ」。貨物から乗用の規格変更や脱着シートといった独創的なアイデアから生まれたラインアップは、多くのハイエースファンから注目を集めている。今回の「東京キャンピングカーショー2019」では、初のキャブコン(キャブコンバージョン)となる新型モデル「モビリティホーム」を初公開。同社の技術力を結集した一台となった。
●モビリティホーム
今回のイベントで初公開された「モビリティホーム」は、ダイレクトカーズが手がける初のキャブコン。これまで同社が開発してきたバンコンと同じく、ベース車両はハイエースと不変ながら、開発で得たノウハウや思想を継承し、キャブコンに求められる居住性や快適性を追求。細部にまでこだわり抜いたフラッグシップモデルを完成させた。
センターエントランスを採用する居住スペースは、広々としたダイネットやマルチスペースに加え、リヤには常設2段ベッドを装備する。
■リヤには常設2段ベッドを装備
特にリヤの常設ベッドはモビリティホームの中でもこだわったポイントの一つ。「バンコンだとベッドが常設されていないモデルが多く、旅先で展開する時の手間もありますが、常設ベッドがあれば疲れていてもすぐに寝ることができる。夫婦はダイネットで寛ぎ、子供は2段ベッドで寝るといった使い方もできます」と説明するのは、同社の百田雅人代表。車中泊を行う中で着想を得て、実際に自分で使いたいと思うキャンピングカーを具現化したという。百田代表は「ダイネットと寝室が独立しているのはキャブコンならではのレイアウト。特に、ファミリーユースでゆったりとくるま旅を楽しんでほしい」と新型車をアピールする。
また、キャブコンは大人でも立って室内を移動できるほどの高い室内高に加えて、ボディの全長を5900㎜とし、ベースモデルからおよそ500㎜延長。車内とは思えないほどの居住性の良さも注目ポイントだ。さらに、電子レンジ、冷蔵庫、テレビといった装備類も快適なくるま旅を演出する。
先日から雑誌のティーザー広告等で登場が予告され、問合せが相次いだという注目のモビリティホームだが、記事制作段階でも開発が進められており、詳細な仕様は明かされていない。その全てを、ぜひダイレクトカーズブースで体感してほしい。
【車両スペック】
ベース車両:トヨタ・ハイエース
乗車定員/就寝人数:7名/4名
その他の諸元と価格はイベント当日に発表
●ドッグエース
ペット愛好家にとって、旅行にペットを連れて行くかどうかは非常に重要なテーマの一つ。移動で電車やバス等の公共交通機関を使う場合は多くの制約があり、マイカーを使う場合でも人にペットの預ける等の不安が伴う。また、宿泊する宿に関しても、近年はペット同伴可能な宿泊施設が増加してきたが、まだまだ不足しているので利用する場合は早期の予約が必要な場合もある。
こういった背景から、ペットとの旅を楽しみたいという声がダイレクトカーズにも多く寄せられ、開発されたのが「ドッグエース」だ。内外装にレトロな雰囲気を漂わせるモデリスタのコンプリートカー「リラクベース」を基に、ペットとの車中泊やくるま旅を快適に過ごすことに特化したモデルとなっている。
■愛犬家目線で開発された使い勝手
インテリアは、リラクベース純正の白と青を組合せたシート表皮に合わせ、家具類もナチュラルテイストなカラーリングで清潔感のある空間を演出。シート生地はファブリックよりも傷に強いレザーとした他、フロアにも重歩行用ポンリュームを採用し、ペットが安心して過ごせる配慮がなされている。
さらに、車両後部にはリードやペットウェア、レインコート等を整理して掛けられるフック付のウィンドウパネルをはじめ、後方へスライドさせて簡単に使えるアウトドアテーブルや外部シャワーを装備。愛犬との外遊びを楽しんだ後に汚れを落としたり、アウトドアのティータイムには愛犬のリードをフックに繋げたり等、愛犬家目線で開発された装備が大切なペットとの快適な旅をサポートする。また、セカンドシートの背面には柔らかなウレタンクッションをセット。ベッドモードに展開した際は全身を包み込むような寝心地を実現、ペットだけでなくオーナーにとっても快適に車中泊を楽しめる魅力の一つとなっている。
加えて、安全基準をクリアしたことで純正シートでの乗用登録(5ナンバー)も可能となり、ニーズやライフスタイルに合わせてナンバー選択も可能。
標準ボディベースなので、都市部での取り回しや使い勝手の良さも見逃せないポイントだ。
【車両スぺック】
ベース車両:トヨタ・ハイエース スーパーGL(モデリスタ・リラクベース)
乗車定員/就寝人数:5名/2名
登録ナンバー:4/5全長×全幅×全高:4695㎜×1665㎜×1980㎜
価格:359万円~(税抜)
●プレミアムフリーワゴン/フューチャーワゴン
プレミアムフリーワゴンのベースとなるのは、10人乗りのハイエースワゴン(DX、GL、グランドキャビン)。同社は以前からハイエースワゴンをベースにしたモデルを販売してきたが、実際に10名フル乗車で活用するシーンもそれほど多くないこともあり「乗車定員を少なくしたい」「室内をもっと広く使いたい」という声が多かったという。
これに加えて、一昨年7月に10人乗り乗用車における横向きシートの新規登録が不可能になったことも大きな要因となった。キャンピングカーとして登録するのではなく、乗用車ナンバーのまま乗員定数を減らすという発想によって、席数やインテリア空間のレイアウトをニーズに合わせ、フルオーダーできるのがプレミアムフリーワゴンの大きな特徴となっている。
■他にはない乗用登録ハイエース
ただ、もともとハイエースワゴンが属する10人乗り以上のいわゆる「M2」と呼ばれるクラスから、9人乗り以下の「M1」への変更は容易ではない。M1クラスは一般乗用車が多い3・5ナンバーが多いことから、国土交通省が定めた貨物から乗用登録にあたっての技術基準はハードルが高く、多岐にわたる。
そこで同社は、乗用車ナンバーのまま乗員定数を減らすというコンセプトを実現するため、制動試験や衝突安全試験等の乗用安全基準を公的機関を通して独自に行い、その全てをクリア。地道に一つひとつの課題を克服することで、ユーザーに安心・安全を提供すると共に、レイアウトの自由度を飛躍的に向上させた、他社にはない「4~9人乗りの3ナンバー乗用登録のハイエース」が完成した。
■様々なシーンに応えるレイアウト
また、プレミアムフリーワゴンは貨物のハイエースバンではなく、乗用を前提としたハイエースワゴンがベースなので、乗り心地の良さも特徴の一つ。3ナンバー登録を実現したことで、車検も1年ごと(新車登録後最初は2年)ではなく、乗用車と同じ2年ごと(同3年)となっているのも大きなポイントだ。
こうして誕生したプレミアムフリーワゴンシリーズは、キャンピングカーのような設備は不要だが、室内の空間を有効に使え、自分好みのレイアウトを実現したいというユーザーには最適なモデルになっている。
レイアウトは4~9人乗りの間で、座席数やシートタイプを自由に選べる。例えばアルヴェルエースのようなキャプテンシートを搭載したグランドキャビンや、多人数乗車かつ広大なカーゴスペースを持つトランスポーターやコミューターのようなカスタマイズも可能だ。
■乗用登録の両側スライドドアハイエースを実現
また、プレミアムフリーワゴンの派生モデルとなる「フューチャーフリーワゴン」は、ベースとなるハイエースバンのロングボディ(スーパーGL)が、もともと商業用バンのいわゆる「N1」クラスに属しており、乗用規格の「M1」クラスへの規格変更は容易ではない。
だが、プレミアムフリーワゴンで培ったノウハウを活かすことで、同様に国土交通省認可の乗用安全基準をクリアし、M1クラスへの変更を実現。4ナンバーから5ナンバー(標準ボディ)、1ナンバーから3ナンバー(ワイドボディ)の乗用登録を可能とした。
これによって、車検が2年ごと(新車の場合は初回3年)になる他、ワイドボディの場合はETCの料金が中型から普通乗用車になるといったメリットが生まれた。さらに、潜在的なニーズが多かったという車中泊モデルでの両側スライドドアや、ディーゼル4WDの選択も可能。もちろんプレミアムフリーワゴンと同じく乗車定員を4~10名まで自由に設定できる。
ライフスタイルに合わせて様々な選択肢の中から、自分に合った仕様のハイエースを選択できるという今までにない付加価値を提供している。
【車両スペック】
ベース車両:トヨタ・ハイエースワゴン・ロング・ワイドボディ・ミドルルーフ
乗車定員/就寝人数:4~9名/2名~※
登録ナンバー:3※
全長×全幅×全高:4840㎜×1880㎜×2105㎜※
価格:339万円~(税抜)※
※表示はプレミアムフリーワゴンの一例。ベース車両、乗車定員/就寝人数はカスタム内容によって異なる。