ロースル・ロイスモーターカーズ東京(港区芝)で、写真展「ブラックバッジ:東京アフターアワーズ」が7月13日まで開催されている。日本、イギリス、シンガポール3カ国写真家が“妖しい”東京の夜を背景に、ロールス・ロイス ブラックバッジを撮影した斬新な写真が揃った。また、写真展と合わせ、被写体となったブラックバッジ各モデルも同時に展示されている。
多面性が人を惹きつける都市、東京。歩を進めるたびに行き会う鋭いコントラストと密かな冒険にあふれるこの街は、よそよそしさと遊び心を備え、常に人を驚かせ、楽しませてくれる。そんな東京の風景は、ロールス・ロイスのダークな分身である「ブラックバッジ」にとって無二の舞台。両者とも、大胆かつ超先進的な表の顔と享楽的で冒険を好む性格を兼ね備え、長い歴史と伝統を刻むその深さとの間に鮮やかな対照をなしている。
この「ブラックバッジ:東京アフターアワーズ」展は、ブラックバッジ全3モデル(ドーン、レイス、 ゴーストの各ブラックバッジ)を、世界で活躍する3名の写真家のレンズを通して紹介するもの。
夜の都内で存分に楽しみ、そして街はずれの静かな孤独の中へ逃げていくという共通のストーリーに、3名の写真家がそれぞれ独自の解釈を加えた。2017年から2019年にかけて撮影された18枚の写真が今回初めて一堂に展示される。
日本の写真家、小川義文氏は、自分の生まれた街を新しい眼で見つた。まず、銀座の華やかな喧騒の中を行くレイス ブラックバッジ。そして、街を縫う高架の首都高を抜け、レインボーブリッジを渡るレイス ブラックバッジとゴースト ブラックバッジ。都会の樹林然とした高層ビル群の下には皇居のお堀や閑静な寺院がたたずむ。
今回の展示に第三者的な視点をもたらす2名の写真家。その一人である、マーク・リッチョーニ(イギリス)は、最近ロンドンで写真シリーズ「ファントム・オフデューティ」を発表したばかり。東京では、秩序や形式に代えて、独特な活力がみなぎる細い通りが入り組む迷路に迷い込んでしまう。ドーン ブラックバッジで行く東京探検のスタートは、ハイテクとゲームの巣窟、秋葉原。華美なネオンサインの光がマグマレッドのエクステリアに照り映える。
そこから向かったのは、夜の静かな東京湾の埋立地に眠る巨大な工業地帯。ルーフを開いて光の野外劇場の姿を捉えた。日が昇り始めると、おしゃれな中目黒の高級住宅街へ。ここは最新ストリートウェアの発信地としても知られている。
3人目の写真家はダレン・チャン。シンガポールの街の明かりに囲まれて育ったチャンがまず惹かれたのは、きらびやかな光を放つ新宿の街。そこに佇むレイス ブラックバッジは、一面の電気の花畑に立つ黒馬のよう。夜更けにラーメンを啜り込むと街を出て、東京湾岸を走る高速道路へ。一日の激務による頭の疲れも、レイスの正確でゆとりある走りにすっかり癒された。
こうして自動車による現代の巡礼さながら向かったのは、有名な大黒埠頭。未明の港には静かな時間が流れる。そしてこの朝最後の撮影スポットは、時間の感覚を失いそうな築地の場外市場。被写体はゴースト ブラックバッジ。不敵なオレンジのコーチラインからその大胆な性格が伝わる。