大きく進化を果たしたオンロードでの走り メルセデス・ベンツGクラス試乗

試乗レポート

圧倒的な悪路走破性を持ち、日本では独特のスタイリングと、メルセデス・ベンツが持つラグジュアリー性やブランド力から高い人気を誇るGクラス。デビューが1979年と40年余りの長い歴史を持つが、昨年登場以来初の大幅改良を実施。オン/オフロードでの走りに磨きをかけるとともに、機能性と居住性を大幅に向上させ、伝統と最新技術が融合した〝究極のオフローダー〟に進化を果たした。

エクステリアは堅牢なプロテクションモール、テールゲート外側のスペアタイヤ等、Gクラスのアイデンティティを継承しながら、新デザインのフロントラジエーターグリル、丸型LEDヘッドランプ等最新のメルセデスデザインを随所に採用し、モダンな雰囲気を漂わせている。

インテリアは、エクステリアで採用されるパーツをモチーフにしたデザインを採用し、特徴的な円形ヘッドライトの形状は左右のエアアウトレット、ウィンカーをイメージしたスピーカー等が個性を強調。さらに、新デザインのインストルメントパネルには12・3インチの高精細ワイドディスプレイ2枚が1枚のガラスカバーの下で融合したワイドスクリーンコクピットを採用し、重厚感の中に先進的な雰囲気を創出している。

 

一方、ボディサイズは、全長4817㎜(欧州参考値の従来比+53㎜)、全幅1931㎜(同+64㎜)に拡大。試乗の序盤こそ車線をはみ出していないかと心配するばかりだったが、運転席が高い位置にありフロントマスクがかなり立ったスクエアな形になっているので見切りも良く、徐々にサイズ感を掴むことができた。

エンジンは出力・トルクが異なる2種類のV型8気筒4.0ℓツインターボを設定し、今回試乗したメルセデスAMG G63のエンジンは、最高出力585PS/最大トルク850Nmを発揮。トルクフルなエンジンは軽いアクセルタッチでも約2.5tという車重を感じさせない走りで、少しでも踏み増せばAMGの名に相応しい圧倒的な加速を見せてくれる。ただ、トルクの太さを活かしたなめらかな走りは、クルマの性格的にもスポーティな走りというより、日常の使いやすさや長距離をゆったりと走るのに最適といえるだろう。

また、従来型では凹凸によるキックバックを伝えにくく、耐久性にも優れるボール・ナット機構のステアリングだったが、新型ではラック&ピニオンに変更。適度な操舵感を持ちながら、応答性の高いハンドリングを実現した。特に直線ではほとんど修正舵を必要としない安定性の高さは特筆すべきポイントで、モノコックボディでオンロード走行が主となる他のSUVと比べても全く遜色のない走りを見せてくれた。

乗り味は基本的にフラット感が高く、カーブでのロールの出方も自然かつ微小といった印象で、後席ではやや振動が感じられたが、不快には感じないレベル。快適とは言いがたい従来型から〝トラックから乗用車に変わったような乗り心地〟という説明にも納得できるものであった。

今回はオフロードでの走行は行えなかったが、Gクラスの本質である悪路走破性や伝統をしっかりと継承しながら、現代モデルに求められるオンロードでの安定感のある走りや高い快適性、内装の質感などは大きくアップデートされており、さらに多くの支持を集めそうだ。

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