日産自動車が企業統治の改善に向けて設置した第三者によるガバナンス改善特別委員会は3月27日、同社への提言を取りまとめ最終報告書を発表した。報告書の中で、カルロス・ゴーン前会長に権限が集中したことが不正の根本原因と指摘し、今年6月末の指名委員会等設置会社への移行や会長職の廃止、取締役会議長は社外取締役が担い、取締役の過半数を社外取締役で構成すること等を提言した。
特別委員会は、ゴーン前会長による一連の不正は私利私欲を追求した経営者不正で、粉飾決算や不正会計といった「会社のため」を不正の正当化根拠としていた過去の上場会社での経営者不正と根本的に異なり、不正行為を防げなかった日産のガバナンスに問題があると指摘。これに類似した問題の再発を防ぐガバナンス体制構築のため、同社の取締役会に対して38項目の提言を行った。
具体的には、取締役の過半数を社外取締役にするとともに、6月末に現在の監査役会設置会社から指名委員会等設置会社への移行をはじめ、不正に利用された可能性のある関連会社・組織の廃止を含めた見直し、CEOリザーブの廃止を求めた。
さらに、会長職は廃止し、従来は会長が兼務していた取締役会議長は社外取締役を選任、日産の代表執行役がルノーや提携関係にある三菱自動車の役職員を兼務しないことも明記された。
特別委員会は共同委員長の弁護士の西岡清一郎氏と前経団連会長の榊原定征氏を含む4名と、日産の社外取締役3名で構成し、加えて国内外の機関投資家の意見を参照。榊原共同委員長は「海外のアドバイザーからは世界のどのガバナンス体制と比べても遜色がなく、先進的な体制だと評価を受けた。提言を実行できれば世界に通用する高度なガバナンス体制を構築できる」と述べた。
なお、日産は3月27日に特別委員会からの報告書を受領し「提言内容を真摯に受け止め、誠実かつ迅速にガバナンス改善に向けた実行計画の策定を進めていく」とコメントした。