個性が明確な三つのパワートレーン、トヨタ・クラウン試乗

試乗レポート

昨年行われた東京モーターショーで次期新型のプロトタイプが公開され、イベント随一の人気を集めたトヨタ・クラウン。先日発売が開始され1カ月で目標の7倍となる約3万台を受注する等、注目度の高さが数字にも表れ、大きな話題を呼んでいる1台だ。今回のフルモデルチェンジで伝統の「ロイヤル」「マジェスタ」「アスリート」の3系統構成を排し、大きく分けてベースグレードとスポーティな「RS」の二つに集約されたことも大きなポイント。

全体的な乗り味としてはフラットライド感が高く、ハンドリングも思いのほか軽やかでクセがないのが好印象。一方、RSはベースと比べて一段と足回りが引締められ、乗り心地はかなり硬質だが、ライバルといわれる欧州車と遜色のない動的質感を手に入れている。

パワートレーンは、直列4気筒2・0ℓターボエンジン(最高出力PS/最大トルク350Nm)、同2・5ℓエンジン(最高出力184PS/最大トルク221Nm)+モーター(最高出力143PS/最大トルク300Nm)、V型6気筒3・5ℓエンジン(最高出力299PS/最大トルク356Nm)+モーター(最高出力180PS/最大トルク300Nm)の3種類を設定。その個性も〝三車三様〟だ。2・0ℓターボは低速域から豊かなトルクを発揮し、街乗りの速度域でも扱いやすく、高速ではアクセルを踏み込めば力強い加速を見せる。組合される8速ATのシフトチェンジも非常にスムーズで、メーターの表示ではシフトアップしていても、ギヤが変わっているという体感はほぼない。一般道で流れに乗って走るようなシーンでは、常に1500回転前後をキープするので、エンジン音が耳に届かず室内の静粛性も高く特筆すべきポイントといえる。

滑らかな走り出しや必要にして十分な動力性能を持つ2・5ℓハイブリッドは、他のパワートレーンと比べると中庸な印象を受けるが、その分、乗り味の良さや快適性の高さは如実に感じられた。直進安定性も高く、走り出しの軽快さと対照的な重厚感ある走りは、伝統的なクラウン像を3車種の中で最も体現している。

レクサス・LS等と同じ機構の3・5ℓハイブリッドは、静かな走り出しや低中速域でのモーター音や太いトルク等、ハイブリッド的な要素を持ちながら、加速に比例して大きくなるエンジン音はガソリンエンジンとATの組合せに近い感覚。アクセル操作に対する加速性能や、パドルシフトを介した変速制御もメリハリが効いており、ダイレクト感のあるスポーティな走りを味わえた。

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