家族で行こう! きままにクルマ旅(2016年9月 紙面掲載)
日産 セレナでドライブ 隠れスポット静岡函南・韮山

レジャー ドライブ

文・写真:吉田直志(automobile columnist)

伊豆の玄関口としておなじみの函南・韮山地域。伊豆ドライブの玄関口ゆえに、素通りしてしまう方も多いかもしれないが、富士山や伊豆半島、そして駿河湾といった豊かな自然、そして、最近話題のスポットも加わり、足を運びたい地域となっている。そんなスポットを巡るドライブに連れ出したのはミニバンとしての実用性や快適性はもちろん、先進技術を採り入れてさらに魅力を増した日産「セレナ」だ。

この企画では、筆者の性格もあってか、有名スポットだけではなく、情報誌に大々的に載らないような隠れスポットを巡るドライブを紹介することが多々ある。今回もそんなあまり知られていない地域、静岡県の東部に位置する函南・韮山地区を巡るドライブへと出掛けることにした。

箱根の南側、熱海の西側、そして沼津の東側に位置したこの地域は、ドライブの目的地として選ばれることは少ないものの、海と山の豊かな自然、富士山や駿河湾による風光明媚な風景など、実は見どころ、そして〝食べどころ〟は、とても多い。そして、昨年、「韮山反射炉」が世界文化遺産の構成要素のひとつとなったこと、また、大自然を堪能できる日本一のつり橋「三島スカイウォーク」の完成がしたこともあって、話題のスポットとなっている。

「三島スカイウォーク」は歩行者専用としては日本一の長さ(全長400m)を誇るつり橋。晴れた日には富士山から駿河湾、そして伊豆半島まで見渡すことができる

アクセスは、東名高速・沼津IC、もしくは新東名の長泉沼津ICを下りて、そのまま伊豆縦貫自動車道を利用すると、思いのほか時間が掛からずに到着できる。まず、訪れた「三島スカイウォーク」は、国道1号線を箱根方面へと進むと、山腹にその姿を突然に現す。このつり橋は、どこかとどこかを繋ぐために作られたというよりは、富士山から駿河湾、そして、伊豆半島まで広がる景色を愉しむために作られており、ただ、往復するだけ、そして、入場料も1000円とまさに観光地的スポットともいえる。取材当日は不安定な天候だったため、景色を愉しむことはできず、橋の揺れだけを楽しむという結果となってしまったが、天気のいい日には入場料分以上の満足度は高いだろう。

続いて、山腹の道を辿って「月光天文台」へと向かう。その道中は、アップダウンが多く、またタイトなコーナーが続く道だったが、セレナは素直なハンドリング、安定したシャシーによって、快適なドライビングを提供してくれた。コーナーでは、ロールが上手く抑えられており、ドライバーはもちろん、乗員も不快さを感じることはなく、セダン的な乗り味に感心したほどだ。

「月光天文台」は天体観測所、プラネタリウム、地学資料館を備えるスポット。子ども向けのイベントも開催されており、大人から子どもまで楽しめる。プラネタリウムは日曜、祝祭日のみ

そのまま、山道を進んでたどり着いたのは「酪農王国オラッチェ」。地名としては丹那となり、そう、JR東海道線、東海道新幹線の丹那トンネルの真上に位置する牧場だ。ここは、さまざまな工房、動物との触れ合い広場、土産処のほか、レストランやソフトクリームを提供するカフェなど、ファミリーでゆったりと遊ぶことができる。個人的には、ここのソフトクリームがお勧め。濃厚とはこのことですといわんばかりに、深い味わいのソフトクリームはそこらでは味わえない逸品(だと思う)。

酪農の里でもある丹那で、安心・安全の食を提供し、訪れる人にイベントや酪農体験を提供する「酪農王国オラッチェ」。チーズやバター、牛乳のほか、地ビールの工房もある。食事処あり/名物ソフトクリーム(350円)。低温殺菌牛乳を使って濃厚な味わいを出しており、絶品

函南の南側に位置する韮山地区は「韮山反射炉」が世界文化遺産の構成要素のひとつとなったことで、にわかに注目されるようになったが、そもそもイチゴ農園が数多くあり、年明けから春先までイチゴ狩りを楽しめることでも有名だ。この地域の歴史を学ぶことができる「伊豆の国市韮山郷土史料館」といったスポットのほか、地元の人が多く訪れるJA農産物直売所「農の駅」もお勧め。ここは農産物はもちろん、また、海が近いことから海産物、そして、手作り加工品などが数多く並んでいる。

2015年、明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業という世界文化遺産の構成要素のひとつである「韮山反射炉」。ちなみに反射炉とは、炉内での反射熱を利用して金属の精練を行なう炉で、日本では江戸時代末期まで使用されていた

帰路は、沼津、三島へとは向かわず、伊豆の尾根沿いを走る伊豆スカイラインを利用して、箱根から小田原へと抜けることにした。あえてアップダウンがあり、またコーナーが続くルートを選んだのは、セレナの走りをもう少し楽しみたかったから。

坂道を上ろうとアクセルペダルを深く踏み込むと、エンジンルームからノイジーなサウンドが聞こえては来るものの、パワーもしっかりと引き出されており、また、コーナーでは、先に感じたように素直にロールし、リヤが遅れて付いてくるようなこともない。ミニバンなのに楽しさとは不思議な組み合わせだが、このクルマには楽しさがある。燃費は、そんなルートを走ったために走れば走るほどに悪化していき、結果15.0km/Lを切ってしまった。しかし、往路、高速道路をまったりと走っていた時は、20.0km/Lを軽く超えており、走り方次第では、カタログ燃費に近づけることはそれほど難しくないとも感じた。そう、燃費・環境性能も、このセレナのアドバンテージだ。

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ドライブデータ

試乗車=日産 セレナ G
パワーユニット=ガソリンエンジン1997cc、FF、エクストロニックCVT
乗車定員=8名
全行程走行距離約=約370km

立ち寄りスポット[マップコード]

・三島スカイウォーク[50 238 811*66]
・月光天文台[50 179 012*06]
・韮山反射炉[116 430 322*46]

※「マップコード」および「MAP CODE」は、株式会社デンソーの登録商標です。
※ナビの機種によっては、高分解能マップコードに対応していない場合があります。

プロフィール
吉田直志/automobile columnist
四輪駆動車専門誌、デジタルカルチャー誌の編集部を経て、フリーライターに。現在は新型モデルの評価を軸に、自動車雑誌のほか、ファッション誌にも寄稿。

(本稿は2016年9月に新聞「週刊Car&レジャー」に掲載)

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