1976年の初代モデル誕生から40周年を迎えたアコードは、現在160カ国で販売され、累計2200万台を生産するホンダ随一のグローバルカーとして歴史を刻んできた。その記念すべき年に、2013年発売の現行モデルで初のマイナーチェンジを実施。内外装デザインの刷新とともにハイブリッドシステムのブラッシュアップで、走りの質感をさらに高めている。
エクステリアは独特な表情を生み出すインラインタイプのLEDヘッドライトなどで押し出しを強め、インテリアではフラッグシップモデルのレジェンドに採用されている、押す/引く操作による「エレクトリックギヤセレクター」を採用し、先進性のあるデザインとしているのが印象的だ。
パワートレーンは、直列4気筒2・0Lアトキンソンサイクルエンジン(最高出力145PS/最大トルク175Nm)に、V型6気筒3・0Lエンジンクラスに匹敵するトルクを発揮する走行用2モーター(最高出力184PS/最大トルク315Nm)を内蔵する電気CVT+PCUを組み合わせ、トランクにはリチウムイオンバッテリーユニット(IPU)を搭載。低中速域ではエンジンはモーターの発電に、高速域ではクラッチがつながって駆動を担当するというハイブリッドシステムは従来から変更はないが、システムの高出力・高トルク化を実現している。
走り出してみると、ハイブリッドらしい力強いトルクや瞬発力が感じられ、ある程度スピードに乗ると一般道の速度域ではほとんどモーターのみで走るので、電気自動車に乗っているような感覚というのが第一印象。マイナーチェンジから搭載されたスポーツモードを選択すると強力な加速を得られるが、オフの状態でもアクセルの反応が俊敏で、必要十分な加速性能を持っているので、運転が楽しくなる〝スポーツハイブリッド〟という名の通りに走りをみせてくれた。
ただ、運転席からの見通しは悪くない一方で、最小回転半径が5・7mから5・9mに拡大したので、都心部での運転や車庫入れでは少々気を使う場面があった。
また、ブレーキのフィーリングは、回生ブレーキによる充電の様子を感じられたが、違和感はなく滑らかな感触。軽いとかスッと抜けるような感じは無く、ガソリン車と変わらないブレーキフィールであるのも好印象。ステアリングに備えられたパドルシフトは回生ブレーキの強さを4段階から選べ、視線を変えることなく操作ができるのでワインディングや下り坂での走行シーンでは重宝した。
加えて、モーター走行からエンジン走行の切り替わりもシームレスで、乗っている人はエンジンが動いていると判らないのでは?と思うほどの静粛性の高さは特筆すべきポイント。遮音性のすぐれたフロントガラスを採用するなど、ノイズはかなり抑えられている。また、185㎝の身長を基準にして設計したという後席の居住性は、足元から頭上まで圧迫感を覚えることがなく、長距離移動に最適な上級サルーンにふさわしい仕上がりになっている。