ミニバンにワンランク上の高級感「エスクァイア」

試乗レポート

5ナンバーサイズのミニバンにワンランク上の高級感を付与し、“新上級キャブワゴン”として発売されたのがエスクァイアだ。低床フラットフロアによる広い室内空間、優れた乗降性などミニバンとしての高い基本性能はそのままに、高級感をテーマにこだわりの内外装を追求。これまでにない“所有する歓び”を満たすモデルとして、5ナンバーサイズミニバンに新たな価値を提案している。

エクステリアでまず目に飛び込んでくるのは、圧倒的な存在を持つT字型のフロントグリルだ。アンダーグリルまで伸びる堂々としたT字のデザインは、高級車として存在感を強烈に表現している。中心から両端部にかけて縦メッキバーのパターンが微妙に異なり、見る角度や光のあたり方で、ボリューム感やワイド感を強調。無垢の金属から削りだしたかのような質感を実現した。また、サイドガラス下端のモールと、ドアハンドルをメッキとなり、高級車にふさわしいサイドビューとしている。

インテリアも、従来のミドルサイズミニバンにはなかった高級感や細部にわたるこだわりが凝縮されている。本革のような風合をもった合皮シートの感触がとても良く、内装色にバーガンディーを選ぶと、細かいドットの中にオレンジの差し色がのぞくデザインが印象的。ステアリングホイールは、高級車の定番でもある木目とコンビタイプで、エアコン操作パネルやシフトノブのベースは艶やかなピアノブラック塗装。控えめで主張しすぎない都会的な雰囲気に好感を持てる。

高級感を押し出したデザインのエスクァイアだが、室内空間の広さや使い勝手の良さも高いレベルにある。前述したように低床フロアの採用により、乗り降りのしやすさに加えクラス最大級の室内空間を確保。室内高は子どもの着替えもできる1・4mあり、ロングホイールベースやシート形状の工夫により、2列目はもちろんのこと、3列目でもゆとりのある足元空間が実現した。シートの配列は、ハイブリッド車では2列目がセパレートになる7人乗りのみだが、ガソリンエンジン搭載車は、7人乗りと2列目がベンチタイプになる8人乗りが用意されている。7人乗りは、2列目席が810㎜ロングスライドでき、ベビーカーや大きな荷物の置き場として活用できる。さらに、3列目を跳ね上げロングスライドすることで、リビングのようにくつろげる広い空間が生まれる

パワーユニットは2・0ℓガソリンと1・8ℓ+モーターのハイブリッドシステムの2タイプ。ガソリンはCVTとアイドリングストップ機構と組み合わせで、燃費はクラストップレベルの16・0㎞/ℓを誇る(2WD、JC08モード)。下位グレードXiの4WDモデルを除いて、全グレードがエコカー減税の免税対象となる。ハイブリッドはシステム全体で最高出力が100kW(360PS)、JC08モードでの燃費は23・8㎞/ℓとコンパクトカーに迫るもの。

運転席に座ってまず驚かされたのは、ガラスエリアの広さだ。運転席からクルマのボンネットフードが見えるため、車両感覚がつかみやすく、狭い道でも安心して運転することができる。フロントピラーのスリム化や大きな三角窓の採用により、優れた側方視界も確保され見晴らしの良い運転席となっている。これは、平日にハンドルを握ることが多いお母さんに支持されるだろう。

ハイブリッドモデルは低燃費だけでなく、モーターによるスムーズな加速や、アクセルを踏んだときの瞬発力があるので、運転の楽しさはガソリン車に比べればハイブリッド車に軍配が上る。また、高速走行時の車内の静粛性も高く、家族や友人との会話も弾み楽しいひと時を演出することだろう。

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