松島湾一周 仁王丸「大型遊覧船で島々を巡る」


松島の名勝の一つ、鐘島 / 遊覧船はこの仁王島の形をモチーフにしている
高台から松島湾を遠望するだけでなく、松島は遊覧船も充実しているので、ぜひ島々を近くからも見ておきたい。西行戻しの松公園から遊覧船の波止場を目指した。
公園からクルマで5分も走らないうち海岸線を走る国道45号線へと出られる。国道沿いには飲食店等の店舗が軒を連ね、その合間に民間の有料駐車場やコインパーキングがある。その一つにクルマを止め程なく歩くと遊覧船の波止場につく。

2020年4月に新造された“仁王丸”で松島湾巡りへ
遊覧船は、300~400人乗りの大型船が営業時間内で1時間おきに定期運航されている(1周17㎞、所要時間50分)。また、小グループや団体向けには中型船、小型船での貸し切りクルーズにも対応している(要問い合わせ)。大型船(臨時便除く)は現在、新造船就航キャンペーンにより乗船料金が500円引きの1000円で、2階席のグリーン料金は通常600円が半額の300円になっており、公式サイトから予約するとさらに100円引きになるという(2020年12月現在、キャンペーンの終了時期は公式サイトで確認のこと)。
桟橋に3隻の大型船が接岸されており、ちょっとした船旅気分に浸れる。いずれも松島湾で有名な島の一つ、仁王島にちなみ仁王丸と命名されている。出航した遊覧船は、右手に松島の街を眺めつつ進む。全行程で37のビュースポット(島や橋)があり、見どころが十分。それぞれの由来の説明を聞きながら船旅は進む。島の多くは浸食により今の形が作り出されたと思われ、形もユニークでさまざま。決して遠望では見えない部分だ。


大小260もの島が点在する松島湾 / 湾内には養殖のいけすも見える


島々は自然が削り出した様々な形を持つ / 中央桟橋で乗船券を購入
一方、大きな島には人も住み民宿や海水浴場もあるという。5分もすれば松島の街も遠くに霞みいよいよ沖合へ、クルーズ気分が高まる。さらに、名勝「仁王島」「鐘島」を過ぎると“これより外洋に出ます…”のアナウンスも。そのころには周囲の島影が少なくなり、水平線が長く見えるようになってきた。心なしか仁王丸も波を蹴立てて力強く進んでいるようだ(←筆者の思い込み)。しばらくすると、人々が暮らす大きな島々(桂島、寒風沢〈さぶさわ〉島、野々島)の間の水路に入り、再び松島湾内へ。乗り応えと見応えのある50分だった。
みちのく伊達政宗歴史館
波乱の人生を等身大で再現

仙台、みちのくといえばやはりこの方、伊達政宗公
日本三景の一つ、松島の風景をじっくり堪能した後は、みちのくの英雄、伊達政宗に会わなければ…。遊覧船の桟橋から徒歩5分の距離に、みちのく伊達政宗歴史館がある。
ここでは、戦国の乱世に生きた伊達政宗の波乱の生涯のから25の場面を選び、等身大の蝋人形と映画さながらのセットで再現。政宗公の生涯を“立体的”に学ぶことができる。伊達政宗ファンはもとより、戦国歴史ファンならぜひ訪れたいスポットだ。ファン以外でも、政宗はこんな生き様だったのか、こんなことまでやり遂げたのかと知る機会になり“独眼竜”の見方も変わるかもしれない。

遊覧船の桟橋からは徒歩圏内にあるみちのく伊達政宗歴史館
等身大で再現される場面は、政宗公の出生以前の奥州から始まり、政宗公の出生や疱瘡により右目を失明した幼少期(梵天丸のころ)、元服以降の若武者としての初陣、家督を継いでから老獪な(?)天下人、豊臣秀吉や徳川家康との対処(智謀の数々)…江戸幕府開幕以降の国づくり、領内の産業振興や河川改修、港湾整備など。さらには、大型船を建造し欧州へ使節を派遣等々、一大絵巻が展示さている。


梵天丸(左)は幼少の頃から詩歌、茶道、書道を学び文化人として素養を身につけた / 15歳、初陣の様子


秀吉の小田原攻めに参陣し、死装束で秀吉に謁見 / 欧洲へ使節を送り、ローマ法王に謁見が許された
この他、政宗公愛用の甲冑(黒漆五枚胴具足)の着付け体験により、伊達政宗になりきれることもできる(敷地内で撮影可能)。さらに、こけしやこまの絵付け体験もあり、みちのくの文化を様々な形で体験できる(甲冑着付け体験は要予約。どちらも別途料金)

発掘された頭骨をもとに復元された政宗公の顔。復元された声も聞ける
また、ここでは政宗公だけでなく、みちのく生まれの偉人(文人、芸術家、学者)45名が蝋人形で紹介されている。東北6県がいかに多くの偉人を輩出しているかがわかる。
《ここで会えるみちのくの偉人たち(ほんの一部、順不同)》
青森県:石坂洋次郎(作家)、太宰治(小説家)、棟方志功(版画家)▽岩手県:石川啄木(詩人、歌人)、宮沢賢治(詩人、童話作家)、高野長英(蘭学者)、原敬(政治家、元首相)▽宮城県:高橋是清(財政家、政治家)、志賀直哉(小説家)、吉野作造(思想家)▽秋田県:小林多喜二(小説家)、白瀬矗(探検家)、東海林太郎(歌手)▽山形県:土門拳(写真家)、斎藤茂吉(歌人)▽福島県:野口英世(医学者)、松平容保(会津藩主)他

みちのくが生んだ偉人たち

松島からクルマで1時間半弱で着いた旧北上川の河口。あの駅前の小さな水路がこの大きな川の流れになり、高く川をまたぐ橋の先が海だ
ご当地ランチ
漁師の海鮮丼 旬の採れたてカキづくしも
前述の通り、松島海岸周辺の国道45号線沿いには数多くの飲食店がひしめくが、中でもストレートかつ素敵なネーミングの“漁師の海鮮丼”さんでランチを。もちろん、想像以上の至福の時が過ごせた。


様々なカキを味わえるカキ丼セット / この上なく新鮮な生ガキ
訪問が11月中旬だったので、旬のカキが主役を張る「カキ丼セット(2200円)」を迷わず注文。生で、フライで、ご飯で、どう食べるかで迷いがちなカキだが、もう迷う必要はない。これがすべてを叶えてくれるからだ。
大つぶな生カキとカキフライが並び、よそったご飯が見えないくらい敷き詰められたカキ丼は圧巻。それぞれのカキを頬張ると、鮮度の良さが一目瞭然(口の中だけど)。地元の方なら何気ないことだが、首都圏在住者からすれば滅多にはお目にかかれない、カキの食感のよさも味わえたことに感激!
もう一品、店名にもある「海鮮丼 竹(2200円)」を注文。イクラをドンと中心に据え、大きな丼からはみ出さんばかりにマグロ、貝、エビ(2尾)、サーモンが折り重なるように配置。切り身の魚介はいずれも肉厚で、しかも鮮度の良さも手伝って箸が進む。


魚介があふれんばかりの海鮮丼 / 丼の中央で輝きを放つイクラ
注文したどちらの品も盛りがよく、まさに質と量で満足できたランチタイムとなった。なお、夏場はアナゴが旬を迎えこちらも楽しみだ。

漁師の海鮮丼
旅グルマ紹介
BMW・320d xDrive ツーリング M Sport

ディーゼルパワーでもスポーティかつ実用的なステーションワゴン
クリーンディーゼルターボのステーションワゴンが今回の旅グルマ。アクセルを踏み始めてすぐ(1750回転~)400Nmの最大トルクが発揮されるので、運転シーンを選ばず、ドライバーの思い通りに加速が始まり全くのストレスフリー。高速道路では先行車との車間距離を保つクルーズコントロールや、車線の中央を維持するステアリングアシストもあり、今回のような高速道路ロングドライブでは疲労低減にもつながった。


この状態でラゲージスペースは容量500ℓ / ガラスのみが開閉し小物の出し入れに便利

重厚なトルクを発揮するディーゼルターボユニット
また、500ℓの容量を持つラゲージスペースは、取材者2名分の荷物や必要な機材もすっぽり飲み込み、テールゲートのガラス部分のみが開閉でき小物が取り出しやすい等、ワゴンとしての機能性の高さも存分に発揮してくれた。
今回の立ち寄りスポットマップ
1=分水嶺 2=鳴子峡 3=西行戻しの松公園 4=海軍ゆかりの港めぐり遊覧船 5=松島湾一周 仁王丸(受付) 6=みちのく伊達政宗歴史館 7=漁師の海鮮丼
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