三菱ふそうトラック・バス(本社:神奈川県川崎市、以下「MFTBC」)は、REE Automotive Ltd.(本社:イスラエル・キブツ グリル-ヤム、以下「REE」)と、MFTBCの商用車における「X-by-wire」(バイワイヤ)および「SDV」(ソフトウェア定義車両、software defined vehicles)技術の共同開発および実証に関する基本合意書を締結したと発表した。
バイワイヤ技術は、従来の機械的な接続を電子制御に置き換え、ステアリングやブレーキ、アクセルなど主要機能の操作をセンサーと電気信号によって行う仕組み。車両の安全性や操作性の向上に加え、車両の軽量化や燃費効率の向上に寄与する他、先進運転支援・自動運転技術の開発への貢献が見込まれる。
SDVは、主にソフトウェアを通じて車両の機能や性能を制御・更新できる次世代の車両アーキテクチャ。ハードウェアに依存せず、、無線通信によって車両のソフトウェアを遠隔で更新・修正・改善する技術のOTA(Over-the-air)による機能追加や改善によって、車両の柔軟性・拡張性の向上や車両寿命の延長が見込まれる。また総保有コスト(TCO、total cost of ownership)を低減し、カスタマーへの長期的価値の提供につながることが期待されている。
MFTBCとREEは、バイワイヤ・SDV技術の掛け合わせの探索・検証に着手し、今回の協業を通じて、エンドユーザーのコストを削減すると同時に、車両の最適なモジュール式構造と高度な設計自由度、優れた操作性やより高度な安全機能を実現する、次世代商用車の新たな可能性を探索するとしている。
今回の協業の一環として、2社は共同で実証車両1台の1年以内の製作を計画。実証車両はMFTBCの電気小型トラック「eCanter」現行モデルをベースに、REEのEV向けシャシ「P7-C」の技術を盛り込み製作が行われるという。
MFTBCは、2017年の国内初の量産型電気小型トラック「eCanter」の発売や、2019年の大型トラック「スーパーグレート」における国内商用車初のSAE自動運転レベル2の市場投入など、商用車の先進技術開発の取り組みを推進。今協業ではそれらの知見をもとに、さらに将来の技術開発の加速を狙うと述べている。
またREEでは今協業において、電子制御ユニット(ECU)、OTAによるソフトウェアの更新、そしてSDVのプラットフォームの知見を提供。REEの「REEcorner」技術は、ステアリングやブレーキ、サスペンション、駆動システムなど主要な車両機能を各ホイールハウス内にモジュール化した「ゾーンアーキテクチャ」を特徴とし、車両設計の自由度を飛躍的に向上。さらに、クラウドサービス「REEai」によって、遠隔でのデータ最適化、予防整備、包括的なフリート管理が可能となる。
