ジャガー・ランドローバー(JLR)は2月10日(英現地時間)、パーソナライズされたラグジュアリーモデルに対する需要向上への対応のため、6,500万ポンドを投資し、最も二酸化炭素を排出する製造工程における排出量を低減させ、特殊塗装施設を持続的に拡大すると発表した。
「レンジローバー」および「レンジローバー・スポーツ」全体で、数百種類もあるビスポークカラーやパーソナライズされたカラーの需要が、2022年度以降2倍以上に増えたことに加え、最上位グレードの「レンジローバー SV」に対する需要も、今年度は2倍に増加。
現在、英国最大のラグジュアリーカーメーカーであるJLRは、ウェストミッドランズのキャッスルブロムウィッチとスロバキアのニトラに新たな塗装施設を開設し、特注カラーとラグジュアリーなプレミアムパレットの生産能力を2倍以上に増強。これにより、年間17,000件以上の追加注文への対応が可能となる。
英国のキャッスルブロムウィッチにある新たなSVO(スペシャル・ビークル・オペレーションズ)施設には、4,100万ポンドのうちの2,600万ポンドを投資し、2025年中に既存の塗装ブースをすべて最新鋭の効率的な塗装ブースに刷新。
新しい塗装ブースは最新のエネルギー効率の高い技術と濾過技術を採用しており、エネルギーと水の使用量を削減する他、完全自動のスプレーロボットを使用することで、手作業による塗装に比べて塗料の無駄を30%削減し、環境への影響を低減するとともに、比類のない一貫性と精度を兼ね備えた高品質な仕上げを実現する。
また、ディフェンダーとディスカバリーを製造しているスロバキア・ニトラでは、1000万ポンドを投じた新しいユニバーサル塗装ラインの建設を本年に開始し、オール電動の塗装ブースと新しい電動オーブンの追加を予定。 電動オーブンへの投資により、年間約500トンのCO2eを削減することが可能になり、施設の電力供給をガスからより低炭素で再生可能なエネルギー源へと移行するという、長期的な目標に向けた最初のステップとなる。
最先端のユニバーサル塗装ラインは、スロバキアとJLRにとって初めての導入となり、無限のカラーバリエーションを提供することで完全なビスポークプレミアムパレットの塗装仕上げを実現し、車両のパーソナライゼーションに対する需要の高まりに対応。これにより、この地域では新たに120名の雇用が生まれ、2026年には最初の車両が新しいラインからの出荷を予定している。
さらに、既存の業務を最適化するために、新しいスマート・オーブンコントロール・システムも導入。同システムは、非アクティブな状態を検知すると自動的にシャットダウンするのに加え、塗装工場の煙道ガスから熱を回収し、冷暖房用の水に利用する新しい熱交換器を導入することでシステムの効率が向上し、年間約2,250トンのCO2eを削減。これは、2,200バレルの石油の使用量に相当し、同熱交換器により、JLRは年間約75万ポンドのコスト削減も実現する。