トイファクトリーは11月7日、愛知県犬山市が12月2日から実施する公共ライドシェアの車両として、マルチパーパスモビリティ車両「MARU MOBI(マルモビ)」を無償貸与したと発表した。なお、11月1日に犬山市役所にて車両の納車式および協定締結式が執り行われた。
また、今回のマルモビ車両貸与に合わせて、トイファクトリーは犬山市と「マルモビパートナーシップ協定」を締結。マルモビパートナーシップ協定は、マルモビ車両を所有・使用し、かつトイファクトリーとマルモビパートナーシップ協定を締結している自治体・団体・民間企業等が、災害発生時に人道的立場から可能な範囲内で、マルモビ車両の相互貸与協力を図ることで、避難所の設置・運営等災害対応を迅速かつ円滑に行う協定となり、同協定への締結は、岐阜県可児市に続き、全国で2例目となる。
MARU MOBIとは、1台の車両を多方面&多目的に活用できるマルチパーパスモビリティ。内閣府推進の主要政策の一つ「災害に強い国づくり:国土強靭化(ナショナル・レジリエンス) 」に向けて注目される「平時活用、有事機能発揮」を形にした車両で、マルチパーパスモビリティのコンセプトから、「MARU MOBI<マルモビ>」の車名が付けられた。
トヨタ「ハイエース」をベースに、取り外し可能な脱着式シートや、トイファクトリーが特許を取得した特殊構造を車内に設置し、レイアウトを用途に応じて組み替えられるモードチェンジが容易で、汎用性が高いのが特長。2024年1月には、同社が日本総代理店を務めるスイス製のウォーターレストイレ「clesana(クレサナ)」をマルモビ車内に搭載したトイレカーを緊急開発し、被災地に派遣したことで話題となった。
その後、脱着式機能も備えたクレサナトイレのポータブルタイプや、個室ユニットの量産型として開発を行い、マルモビ車両に手軽に搭載できる追加オプションが完成。トイレモードも実現が可能となった。マルモビ車内には、クレサナトイレと個室ユニットを用いて、最大2部屋のトイレの設置が可能で、脱着は工具無しで簡単にできる。
2024年1月には、クレサナトイレをマルモビ車内に設置した「プロトタイプ」として緊急開発した車両を、石川県珠洲市にトイレカーとして派遣し、避難所でのトイレ問題に悩む女性に向けて、まずは「女性専用」として設置された。当時は脱着機能はなく、トイレや個室壁はスピード重視で組付けて製作が行われた。
公共ライドシェアは、地域や時間帯としての「交通空白地」解消を目的として、自治体や非営利団体が主体となり、自家用車(白ナンバー)で有償運送をするサービスで、急速な高齢化による交通弱者の増加や緊急時の対応力向上など、様々な課題解決として今後全国各地に広がることが予想されている。
今回は、犬山市が愛知県初の定時定路線の事業者協力型による公共ライドシェアとして12月2日より運行を開始する。