文:岩田 一成(キャンピングカーライフ研究家)
使い方・ライフスタイルで選べるキャンピングカー
キャンピングカーとひと口に言っても、軽自動車サイズから大型バスクラスまでその種類は多種多様。数あるキャンピングカーの中から自分に合った1台を見つけ出すには、まずキャンピングカーのカテゴリーを知ることが先決だ。幅広いニーズに対応できる豊富なバリエーションがそろっていることも、キャンピングカーの大きな魅力。各カテゴリーの特徴をしっかり理解して、後悔のないキャンピングカー選びを!

多種多様なモデルが集結したジャパンキャンピングカーショー2023。自分にあった1台を見つけるために、まずはカテゴリーを知ることも大事だ
バンコン
(バン・コンバージョン)
日本のキャンピングカー市場においてもっともポピュラーなカテゴリーが、「バンコン」だ。
バンコンは「バン・コンバージョン」を省略した呼称で、バンをベースにコンバージョン(改造・改変)したキャンピングカーのことを指す。商用車のバンを筆頭にワンボックスタイプのワゴンやミニバンなど、幅広い車種がベース車に用いられており、日本ではトヨタ・ハイエースがバンコンベースのメインストリームとなっている。

フィアット・デュカト(左)の国内正規輸入が開始され、ベース車の幅がより広がった
キャンピングカーとしての架装は内装メインとなるため、見た目は自動車メーカーが製造したバン・ワゴンそのもの。一般車に近い“大きすぎないボディサイズ”と普通車然とした“スマートなビジュアル”で、通勤や買い物、子どもの送迎などの普段使いも快適にこなせる。
キャンピングカーのカテゴリーの中で、比較的走行性能に優れているのもバンコンのメリット。平日は足グルマ、休日はキャンピングカーと、ファーストカーとしてマルチに使えるのが最大の魅力だ。

都市部でも移動ストレスの少ないハイエースのバンコン人気は高い
キャブコン
(キャブ・コンバージョン)
キャブ付きシャシーに居住用キャビンを架装した「キャブコン」は、国内市場でバンコンと人気を二分するポピュラーなカテゴリーだ。コクピット上部に大きな張り出しを持つ特徴的なスタイルから、キャンピングカーと聞いてパッとキャブコンのイメージが頭に思い浮かぶ人も多いだろう。

トヨタ・カムロードをベースにしたスタンダードなキャブコン
ベース車両には、トヨタ・カムロードなど貨物トラックをベースにしたキャンピングカー専用シャシーを用いるのが一般的だが、ワンボックス車やSUV、ピックアップトラックのボディに居住用キャビンをドッキングしたモデルも存在する。

ピックアップトラックをベースにしたキャブコンも登場している
最大のメリットは、スクエアなキャビン形状と高い全高がもたらす広々とした室内空間。ゆとりある空間を生かしてキッチンやマルチルーム、ベッドなどが独立して配置され、天井が高く通路が確保されているので立ったまま室内を歩いて移動することもできる。
コックピット上部には住宅のロフトのような役割を果たすバンクベッドが装備され、ボディサイズを抑えながら大人数分の就寝定員を確保することが可能だ。

災害時の避難所としても活用されている
国内市場では日本の道路事情に適した「5×2サイズ」と呼ばれる全長5m・全幅2mクラスのモデルが主流だが、より機動性に優れたコンパクトサイズのライトキャブコンなどもあり、幅広いバリエーションから用途に合ったモデルを選択できる。

ライトキャブコンとも呼ばれるコンパクトなモデル
軽キャンパー
軽自動車の貨物車や乗用車をベースに架装したキャンピングカー。バリエーションとしては、バンやワゴンをベースにした「バンコン」、軽トラックをベースにした「キャブコン」「トラキャン」の3タイプが存在する。数あるキャンピングカーの中でも最高レベルの機動性を誇り、運転が苦手な人でもストレスを感じることなく気軽に乗り回せるのがメリットだ。

スタンダードな軽バンコン。ホンダ、スズキ、ダイハツの軽バンベース車が多く見られる
軽自動車ベースのため比較的車両価格が安価で、税金や保険、高速料金、消耗パーツ代などのランニングコストもリーズナブル。ボディサイズに比例して室内空間もコンパクトになるが、少人数での利用が前提のユーザーや、秘湯巡りや登山・渓流釣り等で狭い道を走る機会が多いユーザーには、最高の相棒になってくれるだろう。

空間を広げてくれるポップアップルーフを採用している軽キャンピングカーも多い
* 次項では、バスコン、セミフルコン/フルコン、キャンピングトレーラー、トラキャンを紹介。