日本で求められるトレーラーを目指して
近年、休日の高速道路やサービスエリア、レジャー施設など様々なスポットで、キャンピングカーを目にする機会が多くなってきた。日本RV協会が公開するデータを見ても、国内のキャンピングカー総保有台数や販売売上合計額は過去最高を記録している。
その一方で、同じレジャービークルであるキャンピングトレーラーはどうだろうか。目にする機会は稀で、キャンプサイトなどで見かけたとしても外国製の大型モデルばかりだ。
そもそもキャンピングトレーラーは、車両重量が750kg 以下であればけん引免許は不要で、エンジンを積んでいないためメンテナンスも手間いらず。トレーラーを牽引する自動車(ヘッド車)は必要となるものの、シェル自体は手が届きやすい価格帯。ランニングコストも少なくて済む。それでも日本では、トレーラーを製造しようとするメーカーはほとんど現れなかった。
この状況に一石を投じたのが、エアコン&リチウムイオンバッテリーを搭載したバンコン(バン・コンバージョン)「オーロラ」シリーズを展開するケイワークスだ。
日本にトレーラー文化が根付かないのは「日本の道路や住環境に適したトレーラーがないことが要因のひとつではないか」と、日本の環境に合わせたトレーラーの開発に着手。2018年、キャンピングカーの開発・製造で培ってきた知見を活かし、オリジナルのトラベルトレーラー「トレイルワークス」を誕生させた。

サイディングのラインがよりきめ細かくなり強度も増した新外装のトレイルワークス(右)と先代モデル(左奥)
カスタム可能なサブバッテリーシステムを搭載
トレイルワークスは、まず国内の駐車場や住居環境にも適したサイズ感を実現。シェル全長は4000mm(フレーム前方まで含めた総全長5310mm)、幅は2090mm、高さは2630mmで、ちょうど背を低くしたキャブコンサイズに近い。トレーラーの中ではコンパクトと言えるサイズだ。
ヘッド車のサイズにもよるが、走行中に内輪差を気にする必要もなく、右左折時もヘッド車が走ったタイヤ跡とほぼ同じ軌道で追従する。

フレームには移動用の小型補助輪を採用。大人一人でも動かすことが可能に(エアコンの室外機にはカバーが付く)
内装は、同社のバンコン同様に外泊に適した断熱処理を施している。自社開発のためユーザーの要望に沿ったカスタマイズにも柔軟に対応が可能だ。
さらに、同社オリジナルの電装システム「メビウス2」を搭載。ストレスのない電化製品の使用を可能にした170hのリチウムイオンサブバッテリーを標準装備し、用途に合わせて追加のカスタマズも可能になっている。

充電効率の優れたリチウムイオンサブバッテリーを採用
選べる3つのタイプを設定
設定されている車種は、3つのタイプとコラボモデル、計4モデルとなっている。
荷物の積載に重点を置き、そこに必要最低限のキャビネットとベッドマット、キッチンを備えたレイアウトを持つのが「ガレージ」だ。バイクやバギーなどの運搬に特化した補強床を使用しており、バックドアもスロープ式を採用し、バイク等のスムーズな積載を可能にしている。

バイクなどの運搬に適したガレージ
「ラウンジ」は、ガレージの装備に加えてキャンピング装備を充実させた居心地のいい空間を持つタイプとなっている。まさに移動する小さな我が家という趣で、最大6人まで就寝も可能だ。この2タイプはともに車載重量が750kgを超えているため、けん引免許が必要となる。
一方、けん引免許が必要ない「ドンガラ」は、キャンピング装備をほぼ排した構造で、自由なカスタマイズを前提としたモデルとなっている。

テーブルを囲み家族で歓談ができるスペースを持つラウンジ

ラウンジのベッド展開。2段ベッドも設置可能になっている
セカンドハウスがテーマのコラボモデル
そして、セレクトショップ「BEAMS」による外遊びカルチャーの魅力を発信するプロジェクト「HAPPY OUTSIDE BEAMS」プロデュースのモデルも販売されている。
このモデルは、けん引免許不要のドンガラと家具付きフルパッケージの2グレードを設定。セカンドハウスをテーマに、ウッドとグレーを基調とした落ち着いた内外装と、口の字のダイネットレイアウトを持つモデルだ。

ショーでも注目されていたHAPPY OUTSIDE BEAMSとのコラボモデル

温かみのあるグレー調の室内。リラックスできる空間を演出
全てのタイプはこの夏、強度と断熱効果の向上を目的に、外装をブラッシュアップ。外壁のサイディングがより細かくなり、見た目もよりシャープな印象となった。
「東京キャンピングカーショー2022」には、この新外装のガレージ、ラウンジ、そしてHAPPY OUTSIDE BEAMSとのコラボモデルが出展されていた。
「日本ではまだまだ利用者の少ないトレーラー文化の楽しさを、今後も積極的に発信していきたい」とケイワークス。今年も国内環境に合わせたトレーラーの新たな開発を進めているという。今秋発表されるであろう新情報にも注目したい。

旅先でも小さな我が家でくつろげるのがトレーラーの魅力(外装は先代モデル仕様)