文・写真:吉田直志(automobile columnist)
千葉県房総半島のドライブスポットと聞くと、海を思い浮かべるかもしれない。しかし、房総半島の山並みにもオススメしたいスポットが数多くある。今回は、そんな房総半島内陸部のスポットを繋ぐドライブへと出掛けることにした。相棒として選んだのは、フルモデルチェンジを果たしたばかりのSUBARU「フォレスター」。取材当日は、関西に大きな被害を与えた台風21号が日本列島に上陸した、あの日。悪天候の写真ばかりとなってしまったがどうぞ御容赦あれ。
今回のドライブ取材で向かったのは、千葉県の中央に位置する君津市。都心から君津市へのアクセスは、首都高からアクアラインを利用して東京湾を渡り、そのまま東京湾アクアライン連絡道を経由して館山自動車道へ入り、今回は、君津スマートICを利用して、房総半島の中では2番目に標高がある鹿野山を目指した。
ここにはマザー牧場、ゴルフ場のほか、かつて虎が逃げたことでその名を広く知られることになった「鹿野山神野寺」、房総の丘陵を一望できる「鹿野山九十九谷展望公園」といったスポットがある。
特にオススメしたいのは鹿野山九十九谷展望公園から見える山並み。ここからの景色は、季節によって、そして時間帯によって、もちろん天気によって、全く異なる上に、さらに雲海や霧によって幻想的な演出がされ、何度訪れても飽きることがない、そんなスポットだ。
続いて訪れた「カズサの郷 愛彩畑」は、昨年の春にオープンしたばかり。周囲で生産された農作物を手に取ったり、食したりすることができる施設で、シーズンになるとトマト食べ放題、イチゴ狩りも楽しめる。また、体験メニューも用意されている。
今回訪れた君津市は広いこともあって、様々シーンを楽しむことができるが、歴史というシーンから是非紹介したいのが「久留里城と久留里城址資料館」だ。
里見氏が支配したこともある久留里城は急峻な地形に作られたいわゆる山城。現在では天守閣が復元(実際に立てられていた天守閣とは異なるという説もある)され展望台として、その近くには文献やかつての生活の様子を紹介している資料館がある。
ちなみに、天守閣・資料館へたどり着くためには、駐車場から急な坂(舗装路)を登らねばならないので、体力が必要であることを付け加えておきたい。
さて、君津市といえば、海外からも注目を浴びている熱いスポットがあることを御存知だろうか。それが、いわゆるインスタ映えすることから一躍有名になった「清水渓流広場」にある「濃溝の滝・亀岩の洞窟」だ。
水田で使うためにと、江戸時代に人工的に作られた洞窟だが、洞窟の奥から朝日が差し込む景色はまさに神秘的であり、その景色をひと目見ようと多くの人が訪れる。当日は、雨と風が強く、残念ながら神秘には届いていなかった。ちなみに、この清水渓流広場は、初夏にホタルを見ることができる遊歩道も整備されており、散策も楽しめる。
今回訪れた地域は房総半島の内陸部にあり、現地でのルートの多くはワインディングだった。そんなルートで、新型フォレスターはSUVとしての快適性だけではなく、走りの楽しさまでも披露してくれた。
水平対向エンジンを搭載していようとも、全高があるSUV、つまり重心高があるモデルゆえに、スポーティな走りは苦手かと思いきや、まったく逆だったのだ。タイトなコーナーであっても、ぴたっとスタンスを決めるとそれを崩すことなく、コーナーを駆け抜けていく。
そんなスポーティさに驚きを覚えたが、もうひとつ驚いたことがあった。台風直撃の日に取材を行ったと最初に書いたが、実は、アクアラインを渡る際、風速15mはあろうかという強い横風、時に突風に見舞われた。しかし、そんな風に挙動を大きく乱されることがなかった。
そのほかにも、エンジン排気量を2.5Lとしたことで、走りにゆとりが生まれ、それがツーリングにおける快適性までも引き上げていたことなど、スバルらしいこだわりをあちらこちらに感じたドライブとなった。
ドライブデータ
試乗車=SUBARU フォレスター X-BREAK
パワーユニット=水平対向2498ccガソリン、4WD、リニアトロニック(CVT)
乗車定員=5名
全行程走行距離=約200㎞
立ち寄りスポット[マップコード]
・鹿野山神野寺[49 010 179*85]
・カズサの郷 愛彩畑[49 112 582*51]
・久留里城[49 146 095*22]
・清水渓流広場[309 637 767*35]
※「マップコード」および「MAP CODE」は、株式会社デンソーの登録商標です。
※ナビの機種によっては、高分解能マップコードに対応していない場合があります。
プロフィール
吉田直志/automobile columnist
四輪駆動車専門誌、デジタルカルチャー誌の編集部を経て、フリーライターに。現在は新型モデルの評価を軸に、自動車雑誌のほか、ファッション誌にも寄稿。
(本稿は2018年8月に新聞「週刊Car&レジャー」に掲載)