日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は、9月度の定例記者会見で、開幕が迫る第46回東京モーターショー2019について触れた。
世界規模でモーターショーの意義が変わる中、東京モーターショーは、クルマ以外の業界からの出展や〝体験できる〟〝お子様も楽しめる〟コンテンツを用意することでモデルチェンジすることで、「あえて掲げるなら100万人来場が目標(豊田会長)」とし、今回のモーターショーが〝モビリティのテーマパーク〟に変わることを強調した。
東京モーターショーは回を重ねるごとに出展数、来場数が減少。来場者は13年が90万人、15年が80万人、17年が80万人を下回った。昨今のデジタル技術の発達により、顧客は様々な情報が入手できるようになり、「メーカーの立場で考えると、クルマを展示して来場していただく方式はどこまで効率的なのか、と考えるのも事実」(豊田会長)。
一方、アメリカのCES(電子機器見本市)のように「クルマ単体より生活全体の未来が示される場で、様々な産業と共に伝える方法に変わりつつある」と考え、東京モーターショーもモデルチェンジの必要に迫られたとしている。
それを具現するのが、メガウェブ会場に設けられる「フューチャーエキスポ」という新企画だ。モーターショー未来場の層を取り込むため、また話題にして共有していただにたくため、さまざまな体験をしてもらう。さらに、未来に主役になる子供に楽しんでもらえる企画を用意。「凝り固まった頭ではなく、柔軟な思考ができる各社の若手が立案した(豊田会長)」という。
また100万人という来場者目標については、「緻密な理屈はない。箱根駅伝、甲子園(高校野球)、高知のよさこい、徳島の阿波踊り等、誰もが知るという一つの目安が100万人だと思う」とし、さらに「クルマ以外の規模の異なる企業が集まることは、日本の産業にも価値がある」と、豊田会長は新たな挑戦に意欲を示した。
■豊田会長の任期を延長
会見では、豊田会長の任期延長(1期2年)も発表された。
これは、従来の輪番制を廃止するものではなく、次期会長会社である本田技研工業の御子柴寿昭会長(自工会副会長)が経緯を説明。「自動車産業がグローバルで大きな変革期を迎え、日本の基幹産業であり、戦略産業である自動車産業が一丸となり、世界を牽引する競争力をつけるには、これまでの強力なリーダーシップ、求心力を発揮した豊田会長が必要」と、会員の総意で豊田会長を中心に難局に挑むことになった。