トヨタのブラジルにおける生産事業体であるToyota do Brasil Ltda.(以下、TDB)は、2021年よりブラジルで販売する新型車の生産に向け、サンパウロ州にあるソロカバ工場へ10億ブラジルレアル(約270億円)の新たな投資と、それに伴う300名の新規雇用を発表した。トヨタは、「需要のある場所で生産する」という考えに基づいて、中南米事業の競争力強化を目指し、現地生産の拡充を進めるとしている。
トヨタは、1958年に海外生産の先駆けとしてブラジルに生産事業体であるTDBを設立し、それ以降、ブラジルのカスタマーに愛されるクルマづくりを目指し、1959年から2001年までの約40年間で10万台以上の「バンデランテ(ランドクルーザーFJ25Lのブラジル仕様車)」を生産・販売した。また、1998年にインダイアツーバ工場を立ち上げ、「カローラ」の生産を開始し、2016年には中南米初のエンジン工場としてポルトフェリス工場を立ち上げるなど、ブラジル市場の成長とともに歩んできた。ソロカバ工場は2012年に稼働を開始し、現在は「エティオス」「ヤリス」を生産し、年間10.8万台の生産能力を有し、累計で66万5千台以上を生産している。
トヨタの中南米本部長でTDB会長の井上雅宏氏は、今回の発表に際し、「ステークホルダーの方々との強い結びつき無くして、ブラジルにおける自動車産業の発展に貢献することはできません。本投資は、従業員、労働組合、サプライヤー・ディーラーの皆様、サンパウロ州政府など多くの方々にご協力いただいた結果であり、当社のブラジルにおける長期的なビジョンを強めるものです」とコメントした。
また、TDB社長のラファエル・チャン氏は、「今回の新たな投資は、トヨタのブラジルにおけるコミットメントを表すものです。この10年、ブラジル経済・自動車市場にとって厳しい環境が続きましたが、現地のビジネスの発展に貢献するという考えの下、トヨタはお客様の笑顔のため、持続的な競争力の強化に真摯に取り組み続けています」と語った。