Hyundai Mobility Japan(以下「ヒョンデ」)は4月21日、鹿児島県屋久島町と「屋久島における電気自動車を活用した包括連携協定」を締結し、同日いわさきグループが運営する屋久島・種子島交通株式会社へ中型電気路線バス「ELEC CITY TOWN(エレク シティ タウン)」5台を納車したと発表した。
同プロジェクトは、水力発電による再生可能エネルギー自給率99.6%(0.4%は災害時等のバックアップ用の火力発電など)を誇る屋久島の「ゼロエミッションアイランド構想」に賛同し、ヒョンデが公共交通の脱炭素化を通じて持続可能な島づくりに貢献する官⺠連帯の取り組み。
屋久島は、鹿児島県が掲げる「2050年カーボンニュートラル実現」に向けた先進地域の一つで、島全体で使われる総電力の99.6%を自然エネルギーである水力発電が担っており、今回、技術革新により公共交通機関のバス運行で求められる条件を満たした中型電気路線バスELEC CITY TOWN5台を運行することで、CO2排出削減が見込まれる他、これまで走行していたディーゼルエンジン型の路線バスと比較し、年間燃料費を削減できる試算があり、地域交通の持続可能性の向上にも貢献する。
標高1,000mを超える山岳地帯を有する屋久島の地形・環境条件に対応するため、ヒョンデでは、2023年5月に電気バスELEC CITY TOWNのテストカーによる実走行試験を実施。特に、電気バスにとって最も厳しい走行環境とされる「ヤクスギランドルート(往復約 30km)」および「白谷雲水峡ルート(往復約 25km)」にて走行テストを行い、積載や⻑距離の登坂といった地形課題の懸念も問題なくクリア。急勾配・急カーブの続く山岳路における安定した走行性能を実証した。
また、登坂時に消費される電力を下り坂で効率よく回収可能な「2 段階回生ブレーキシステム」によるブレーキ周りの消耗品交換サイクルの⻑期化や、バッテリーマネジメント機能や冷却システムをはじめとする各種制御機能が屋久島の高温多湿な自然環境に適応し、充電効率や航続距離の最適化を実現するなど、総合的な性能が評価され、今回導入が決定した。
屋久島のバス利用者では、約8割が中高生、約2割が高齢者であり、静粛性の高いELEC CITY TOWNは、移動の快適性向上だけでなく、島の「人と自然の共生」という価値観とも高い親和性を持っており、今後、島内の全てのバスとタクシーを全てZEV化(Zero Emission Vehicle)することで、「ゼロエミッションアイランド」の実現に貢献するとしている。
さらにヒョンデは、台風や豪雨などの島嶼地域特有の災害リスクに備え、屋久島町と「屋久島における電気自動車を活用した包括連携協定」を締結。電気バスのV2Hを使用することで、避難所や医療施設への電力供給を通じて地域の防災力強化を図ると述べている。