トヨタ自動車とJoby Aviation(以下「Joby」)は11月2日、両社が開発する電動垂直離着陸機「eVTOL」の試験フライトを実施したと発表した。
eVTOLは、短距離・多頻度運航用に設計された、トヨタ自動車とJobyが開発する電動垂直離着陸機。都市圏にて通勤者や出張者、旅行者によるオンデマンド利用が見込まれる空飛ぶタクシー市場のニーズに適している他、ヘリコプター、ドローン、小型飛行機の要素も持ち合わせており、優れた信頼性、環境性(ゼロ・エミッション)、静粛性等を実現。運用コスト、メンテナンスコストも低く抑えることができ、強化された安全機能も備えている。
トヨタは創業以来、誰もが自由に移動できるモビリティ社会の実現に向けて、空のモビリティへの挑戦を継続。今から100年前の1925年、トヨタグループの創始者である豊田佐吉氏は懸賞金を寄付し、「飛行機に載せて、太平洋をひとっとび」できる性能を持つ蓄電池の開発を推奨しており、eVTOLにも通ずる動力源としての電池の可能性を見出し、次世代への夢として現在でも続いている。その後、トヨタ自動車創業者の豊田喜一郎氏が航空機事業に強い関心を抱き、ヘリコプターや航空機の部品の試作などを実施。戦後、豊田章一郎氏は、トヨタにおけるエアロ開発発祥の地である東富士研究所において米国企業と世界初となる電子制御のエアロ・ピストン・エンジンの共同開発を行う等、空のモビリティへの挑戦は、脈々と受け継がれてきた。
現在では、空のモビリティ事業の早期実現に向けて、eVTOLの開発・生産でJobyと協業しており、2020年1月には3.94億ドルを出資、本年にも5億ドルを追加出資し、eVTOLの研究開発段階から実用化に向けた取り組みを加速。今回、7年にわたる両社の取り組みを経て、日本で初めての試験フライトが実現した。
<トヨタ自動車 中嶋裕樹 取締役・副社長のコメント>
空のモビリティは「距離と時間の感覚」を変える可能性を秘めております。空のモビリティという新しい選択肢が加わる未来は、多くの人たちの生活をさらに豊かにしていくことでしょう。トヨタもモビリティカンパニーとして、空と陸のシームレスな移動を実現し、あらゆる人たちが自由に移動できる社会を目指してまいります。Jobyはこの新しいモビリティ社会の実現に向けた重要なパートナーです。トヨタもJobyとの協業を一層深め、Jobyと共に夢の実現に向け歩み続けてまいります。
<Joby Aviation ジョーベン・ビバート 創業者兼CEOのコメント>
日本でのフライトは、我々が長い間待ち望んできた瞬間であり、クリーンな空の旅を実現するための重要なマイルストーンになります。当社は、トヨタの空のモビリティに対するビジョンに共感しており、その未来の一端をお披露目する機会を得たことを光栄に思います。