トヨタ自動車は10月8日、「JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024(ジャパンモビリティショービズウィーク2024)」(開催期間:10月15日~18日、開催場所:幕張メッセ)の出展概要を発表した。
ジャパンモビリティショービズウィーク2024は、モビリティ産業と次世代を担うスタートアップ企業が交流し、“持続可能な未来づくり”という共通の目標に向かって「共創」を生み出すイベント。
今回のトヨタブースでは、「カーボンニュートラル」に関する技術を展示し、スタートアップとの技術交流・マッチングを目指すとしており、マルチパスウェイでのカーボンニュートラル実現に向け、エネルギー供給の安定性と環境負荷低減に寄与する「水素社会実現に向けた取り組み」「再生可能エネルギーマネジメント」の領域で、スタートアップや他企業との共創を推進。新たな仲間づくりや技術革新を通じて取り組みを強化し、「持続可能な未来づくり」に貢献すると述べている。
<トヨタ自動車の主な出展概要>
①液体水素エンジンGRカローラ
トヨタは、2021年より気体水素を燃料とした「水素エンジンカローラ」で、2023年からは燃料を液体水素に変更した「液体水素エンジンGRカローラ」で国内外の耐久レースに参戦しており、自工会の合同展示ブースでは、レース参戦車両を展示し、モータースポーツの現場でクルマと人を鍛え、産官学の仲間と共にカーボンニュートラルの実現に向けて挑戦と進化を続ける活動を紹介する。
②ポータブル水素カートリッジ
トヨタは、マルチパスウェイの考えに基づき、多様なエネルギーを選択肢として、カーボンニュートラル社会の実現に向けた研究・開発に取り組んでおり、その中でも「水素」は使用時にCO2を排出せず、風力・太陽光などの再生可能エネルギー(以下「再エネ」)を活用した場合には、製造工程においてもCO2の排出を抑えることができる「究極のクリーンエネルギー」。また水素は、燃料電池システムと組み合わせて発電するだけでなく、燃焼させることでもエネルギーを生み出すことができる。
日本初公開となる「ポータブル水素カートリッジ」は、トヨタが燃料電池自動車(FCEV)開発で培った技術を活用し、これまで大型で持ち運びが困難だった水素タンクを、人の手で運ぶことができるサイズに小型・軽量化することで、水素を身近で安全なエネルギーとして様々な生活シーンで使用できる設計となっている。
またリンナイ株式会社と共同開発した「水素調理器」も展示。水素利活用の1つの事例として、ポータブル水素カートリッジに充填した水素を燃料電池に使用して発電したり、水素を燃焼させ調理用途に使用する取り組みを紹介する。
上記の出展を通じて、「ポータブル水素カートリッジを使ったサービス提供」や「ポータブル水素カートリッジを使用する水素関連機器の開発・販売」といった観点で、スタートアップをはじめ様々な企業との技術・アイデアとのマッチングを通じ、ポータブル水素カートリッジの更なる活用とその先の水素社会の実現に向けた取り組みを強化する。
③スイープ蓄電システム
カーボンニュートラル社会の実現には、エネルギー課題の解決だけでなく、「サーキュラーエコノミー(資源循環型の経済システム)」の実現が不可欠となり、トヨタでは、クルマづくりでもサーキュラーエコノミーを重視し、廃棄物を最小化する設計や、原材料の循環・再利用等の取り組みを長年わたり実施。特に足元では、ハイブリッドカー(HEV)を筆頭に電動車の普及が急速に進んでいる状況を踏まえ、省資源・長寿命の電池開発や、使用済み電動車から回収した中古電池の再利用などの取り組みを推進している。
「スイープ蓄電システム」は、トヨタ独自の電池制御技術である「スイープ技術」を採用し、中古の電動車用電池を蓄電システムに活用する仕組みで、種類や劣化度の異なる様々な中古電池を再利用して、それぞれの電池に残された蓄電能力を最大限発揮させることが可能となる。太陽光や風力等、電力供給が不安定になりがちな再エネ発電の増加に伴い、重要性が増している「調整力」を中古電池で賄うことで、電力の安定供給と再エネの普及に貢献する。
トヨタは、2018年から株式会社JERAとともに「スイープ蓄電システム」に関する研究・開発を重ね、2022年からは世界初の試みとして「大容量スイープ蓄電システム」をJERAの四日市火力発電所に設置し、実証実験に取り組んでいる。
今回のトヨタブースでは、「使用済み電池のトレサビリティ技術」や「電池の交換作業を画期的に短縮・低減できる技術」等、スイープ蓄電システムを改善し、より安価に・安定的に運用できる技術・アイデアとのマッチングを目指す。