欧米先進国が電気自動車の新型車を相次いで投入し、普及を加速させているのに対して、日本の自動車メーカーはまだ手数が少なく、立ち遅れているとの指摘がある。実際はそうではない。カーボンニュートラル実現に向けての姿勢の違いであろう。
欧米先進国が、電気自動車一辺倒でカーボンニュートラル実現を急いでいるのに対し、日本の多くのメーカーは電気自動車だけでなく、内燃機関の進化、水素などの新しい燃料への切り替えなど、様々のアプローチでカーボンニュートラル実現のための技術開発を進めているためである。
なぜ電気自動車一辺倒にしないのか。電気自動車を走らせるモーターは電気が必要だが、それをつくるのに多くが原油を燃やすために、その際に二酸化酸素を発生させ、カーボンニュートラル実現の壁になっていることが挙げられる。日本の場合、電気をつくる原油燃料の使用割合が20%以上といわれる。
これをやめて太陽光、風力などのエネルギーを使って発電すれば電気自動車一辺倒にもっとパワーを向けてもよいと思われる。現実は核燃料も貢献しているわけだが、こちらもCO2排出がなく、カーボンニュートラルへの貢献度は高いが、核のごみ問題が壁となっている。こうなると、様々の技術的アプローチでカーボンニュートラルを実現しようとのスタンスがベストだといえなくもない。
ただ実際、日本の自動車メーカーの取り組みは各社によって濃淡があり、競争関係の側面もある。一部には欧米先進国とほぼ同じで近い将来には内燃機関をやめ、電気自動車一辺倒に絞るスタンスのメーカーもあり、多様化との中間で臨む企業もある。
(遠藤 徹)