【遠藤徹の業界ココに注目】販売店が新中併売を加速させる背景

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最近、首都圏にあるメーカー系の新車ディーラーを回って気が付くのは、新車と中古車を併売している店舗がさらに目立っていることだ。ショールームに堂々と「認定中古車」という表示板を掲げたクルマを展示販売しているケースが増えている。こうした光景は以前見られなかったことである。

従来だと中古車は販社の中古車展示場で別事業として販売し、新車と中古車を明確に分けて展示販売していた。これが最近は中古車センターだけでなく、新車のショールームでも併売するように変わってきているのである。

理由はコロナ禍の影響で、新車の納期が大幅に遅れ、こちらでの収益が上がりにくくなっているので、そのマイナス分を中古車販売でカバーしようとしているためである。新車の売り上げ台数が少なくなるということは、代替えで発生する中古車も品不足になるということにもつながっている。

したがって中古車の玉不足で価格が20%以上も大幅に値上がりしている。5年落ち程度でも新車よりも高値をつけるケースもある。車種分野ではSUVや軽自動車の値上がりが特に大幅になっている。販社のショールームに出向くと、営業スタッフが立ち合い「購入の検討をしているのは新車ですか、それとも中古車ですか?」などといった問いかけをしている。

新車の代替えについては、下取り車があれば高値で買い取ってくれるケースが多いので、ユーザーにとっては購入のチャンスにもなっている。納期は車種やメーカーによってばらつきがあるが、中古車価格の高値傾向は当分続く方向にあり、こうした新中併売も当面維持または加速することになりそうだ。

(遠藤 徹)

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