新車販売100%ピュアEVに向けた第一歩
日本初導入となるボルボのピュアEV、『C40リチャージ』をテストドライブした。このモデルには、2022年3月に最高出力が170kW(≒231PS)というモーターで、前輪のみを駆動する仕様の追加が発表されたばかりだが、今回乗ったのは、後輪側にも専用のモーターを備え、トータルで300kW(≒408PS)という大出力を発するAWD仕様。ちなみに、いずれも駆動用にリチウムイオン・バッテリーを搭載するが、その容量にもFWD仕様が69Kwh、AWD仕様が78Kwhと差が付けられている。
ボルボは、2030年までに新車販売の100%をピュアEVにすることを目指していて、日本でも2025年に新車販売の40%をピュアEVとする計画を発表済。『C40リチャージ』の導入は、その戦略に沿った動きの第一弾と言えるものでもあるわけだ。
ボルボ車のネーミング流儀に明るい人ならば、頭に”C”という記号が付いていることでクーペ・ボディの持ち主を連想するかも知れないが、時流を踏まえてということか実際には「クーペとSUVのクロスオーバー」とでも紹介をしたくなるのがこのモデルのプロポーション。全長×全幅サイズは4440×1875㎜と日本で遠慮なく使い倒すにはやや幅広の感もあるが、世界第一と第二のマーケットが中国にアメリカと、共に”大きなクルマ”を好む地域になって久しい昨今では、むしろ「手頃なサイズ」と評するべきか。ちなみに、これまで長く”エンジン車”に親しんだユーザーからの抵抗ない乗り換えも意識をしてか、一見してのその姿はエンジンルームが存在するかの佇まいでもある。
加速性能は想像していたより遥かに強力。2.1トン超と重量級ながら、400PSを超える出力ならば当然と言うべきか。これならば、FWD仕様の方でも十二分な加速力が得られるに違いない。
ロードノイズが良く抑えられていることもあって静粛性は大変に高く、20インチのシューズを履きながらフットワークも上質。それにしても、ピュアEVもここまで選択肢が増えてくると、いよいよ気になってしまうのが日本の充電インフラ。現状のままでは”充電渋滞”に遭遇する可能性はこの先加速度的に増加をするであろうし、バッテリー大容量化に伴う充電器の高出力化も、一部プレミアム輸入ブランドのディーラー任せという実感なのが心配だ。
(河村 康彦)
(車両本体価格:〈FWD〉599万円/〈AWD〉699万円)